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海外ドラマ最新レポート Vol.14 「レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー」意外すぎるシーズン4の注目シーンとは? 製作総指揮者が語る、実力派たちのドラマ作りとは

RayDonovan_yr4_#40(4-4)_RAY-epi404-B_350.Ri.jpg「レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー」製作総指揮者の一人、デヴィッド・ホランダーがシーズン4について米メディアで語っている。ホランダーは、シーズン3でクリエーターのアン・ビダーマンからショーランナーの座を譲り受け、番組の実質的な責任者となった。ショーランナーとして、番組の成功を担うホランダー、どのような舵取りを意識しているのだろう?
 
「(ショーランナーを引き受ける前)僕の目的は二つあった。一つは番組のトーンを保つこと、もう一つはクオリティを守ること。それと、すべてのキャラクターの性格を完成させる必要があると感じていた。その上でキャラクターをもっと深く掘り下げたかったんだ、僕らの番組には素晴らしいタレントが揃っているんだからね。そして、シーズンごとに大きなストーリーが描かれるけれど、それに併せて全体を流れるストーリーも作りたかった。この番組はシーズンごとにストーリーを生み出すというより、ストーリーを重ねて作り上げるべきだと考えるようになった」
 
ホランダーはシーズン1から脚本家として「レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー」に参加。リーヴ・シュレイバー(『スポットライト 世紀のスクープ』)、ジョン・ヴォイト(『真夜中のカーボーイ』)、ポーラ・マルコムソン(「デッドウッド~ 銃とSEX とワイルドタウン」)らベテラン揃いのキャストの実力は誰よりも熟知している。
 
「番組の初めから分かっていたことだけど、脚本で役者を縛り付けるよりも、彼らの考えで自由に表現させるのが、僕らの番組にふさわしいと思っている。だから実際に脚本を書く前に、ストーリーをしっかり構築しておくことが大切だと学んだね」
 
ベテランかつ個性豊かなキャストの中でも飛び抜けた存在はジョン・ヴォイト。
 
「徹底的な自由人だ。それに彼は僕が一緒に仕事をした中で最も偉大な役者の一人と言えるだろう。芸術家であり、用意も周到、加えてダイナミックな男でもある。彼は超がつくほどハイレベルな仕事を長年続けてきた、滅多にあることじゃないよ」
 
ジョンが演じるのは、レイの父親で刑務所帰りのミッキー。悪党ミッキーの振舞いをジョンは認めていないと、ホランダーは言う。その振舞いを認めていないから、ジョンは演じるに当たり、まずミッキーを許さねばならなかった。
 
「結果として、ジョンはミッキーを同情の余地のある男として演じている。最悪のことをしていても、どこかにジョンの人間性が顔を出していると思う」
 
最後に、「レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー」シーズン4が米国で放送された際、ファンを驚かせたシーンがある。レイ(リーヴ・シュレイバー)がコクラン(ハンク・アザリア)にそそのかされ、カラオケバーのマイクの前に立つシーンだ。
 
「それまでのレイとは正反対の行動で視聴者も驚いたはずだ。コクランというのは、ずっとロックスターになりたかった男で、レイが歌うとしたら、一番もっともらしい状況は、それまでレイにやられっぱなしだったコクランがその仕返しをしてやろうと、レイを追い込んだ時だと思った」
 
「時と場合によっちゃ、レイもあんなことをするのさ」とホランダー。マイクの前に立つリーヴの戸惑いの表情は演技か本心か?ここはホランダーが一枚上手だったらしい。
 
「レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー」は、米でシーズン5が昨秋終了し、現在シーズン6を撮影中。舞台をロサンゼルスからニューヨークに移し、次なるレイの物語がスタートする。
 
 
<「nytimes.com」 2016年9月16日付け>