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海外ドラマおすすめコラム vol.11 リメイクされまくる傑作ノルディック・ノワール 「THE BRIDGE/ブリッジ」3年ぶりのシーズン4

thebridge4_yoko.jpg7月のスーパー!ドラマTVの目玉は、かつての名子役ティナ・マジョリーノが成長して新レギュラーになる「SCORPION/スコーピオン シーズン4」も楽しみだが、ファンとしてはデンマーク&スウェーデン合作の傑作「THE BRIDGE/ブリッジ」シーズン4の独占日本初放送が嬉しい。
 
デンマークとスウェーデンをつなぐ橋の国境の真上に、両国にまたがるように遺体が置かれ……。そんなシーズン1第1話の衝撃はいまだに鮮烈なままだし、シーズン3の女性刑事サーガ(ソフィア・ヘリーン)の運命にも大いに驚かされた。2年毎に各シーズンが作られてきた本作、2017年にシーズン4が完成せずに心配したが、今年1~2月、無事に両国でオンエア。そんなシーズン4の第1話もショッキングな遺体が見つかる場面から始まるが、製作陣はこのシーズンを最終章にすると語っている。サーガと元相棒ヘンリック(トゥーレ・リントハート)がそれぞれ抱えた問題を考えると、そろそろフィナーレを迎えてもいいのかもしれない。
 
さて本作がいかに優れているかはご存知の通り、海外でのリメークが多いことが証明している。米国では同国とメキシコの国境を舞台にしたダイアン・クルーガー主演「ブリッジ~国境に潜む闇」が作られ、英国とフランスの合作で、大胆にも原作の“橋”を“海底ドンネル”に置き換えた「トンネル~国境に落ちた血」、そして日本未放送だがロシア版(同国とエストニアの間の橋が舞台)まで作られた。
 
それにしても“橋”という題材自体、成熟した大人同士の関係のように思え、それがリメイクが盛んな理由ではないか。そもそも関係がよくない国同士では合同捜査自体が成立しない。また「THE BRIDGE/ブリッジ」がユニークなのは、猟奇的犯罪を描くサスペンスであると同時に社会派ドラマでもあること。シーズン4も移民やLGBTQなどタイムリーなテーマも取り上げている。型破りな北欧産サスペンス、最後まで堪能したい。


【アメリカTVライター 池田敏 2018/07/02】

池田敏: 海外ドラマ評論家。海外ドラマのビギナーからマニアまで楽しめる初の新書「『今』こそ見るべき海外ドラマ」 (星海社新書) 発売中。