「スーパーナチュラル」クリエーターのエリック・クリプキが米紙のインタビューに答え、自身の作品の共通テーマである“家族”について語っている。
2018年はクリプキにとって、多忙な一年となった。手掛けていたのは、通算300エピソードを迎える「スーパーナチュラル」、米でシリーズフィナーレが放送された「タイムレス」、そして映画『ルイスと不思議の時計』の3本。そして2019年にはアマゾンプライムから新シリーズ「The Boys(原題)」がスタートする。
『ルイスと不思議の時計』の原作小説「壁のなかの時計」は、少年時代のクリプキの愛読書でもある。この小説は、のちに「スーパーナチュラル」へとつながってゆく。
「『壁のなかの時計』の世界は、『スーパーナチュラル』と同じ。ちょっぴり愉快で、とっても恐ろしい。そしてどちらも家族の大切さを描いているんだ」
44歳となった現在、クリプキには2人の息子がいる。偶然にも「スーパーナチュラル」と同じだ。クリプキは、ずっと以前から家族にこだわってきた。「スーパーナチュラル」の大きな魅力の一つとなっている“ロードムービー”的演出も、クリプキの少年時代の家族旅行の思い出が根底にある。
それはクリプキが9歳の時。両親と兄、姉、そしてクリプキ少年の一家5人で、地元オハイオの田舎町から往復のロサンゼルス旅行をした記憶があるという。飛行機でも4時間かかる距離を、家族はファミリーバンで移動した。途中、サウスダコタ州のコーンパレス、ワイオミング州のジャクソンホールなど観光地を回りながらの、のんびりとした車の旅。9歳の少年には刺激的な時間だった。
「僕の作品にはつきものじゃないかな、安っぽくってちゃちだけど、アメリカを旅してるとつい足を運んでしまうような場所。それこそ、僕が経験した旅そのものだ」
特別に歴史があるわけでも、格式高いわけでもない。そんなアメリカらしい観光名所から、大人になったクリプキは物語を生み出してきた。
そしてその主役はいつも“家族”だった。
「スーパーナチュラル」でディーン・ウィンチェスターを演じるジェンセン・アクレスには、弟サム役のジャレッド・パダレッキと今も思い出す出来事があるという。
まだ番組初期の頃、ある撮影の間にクリプキはジェンセンとジャレッドと、公園のベンチに腰をかけていた。その時、クリプキはこう語ったのだという。
「『スーパーナチュラル』はモンスターが出てくる番組だと思われているかもしれないけど、(本当は)いつも君たち兄弟で始まり、君たち兄弟で終わる物語なんだ」
「スーパーナチュラル」のメインテーマは兄弟愛。「たとえどんなジャンルであれ、僕が作る番組はすべて、団結して生きる家族の姿を描いている。これは僕の両親の教えなんだ。僕がまだとっても小さい頃から最も大切なのは家族だと教え込まれている。僕は家族を守り、家族は僕を守るとね」
お互いがお互いを守り合う。たとえ血縁じゃなくても良い、それが出来れば立派な“家族”だとクリプキは考えている。
14シーズン続く「スーパーナチュラル」も、クリプキにとってはもう一つの家族だ。出演者やファンを指して“スーパーナチュラル・ファミリー”と呼ぶ。さしずめクリプキはウィンチェスター兄弟の3番目的存在だ。
子供の頃、家族と旅したロードトリップが、クリエーターとしてのイマジネーションの源ならば、「スーパーナチュラル」はその旅の続きだろうか。ウィンチェスター兄弟の3番目は、今もその旅を楽しんでいる。
<「latimes.com」 12月19日>