人気シリーズとなれば長年に渡り放送されるTVシリーズは、時として社会に大きな影響を与える。「ER 緊急救命室」は医療を目指す多くの若者を刺激し、「CSI：科学捜査班」の大ヒットから科学捜査の役割に大きな注目が集まった。

 

米でシーズン16を放送中の「NCIS ネイビー犯罪捜査班」では、一人のファンキーなキャラクターが人気となった。ポーリー・ペレット演じる、科学捜査分析官アビーだ。まじめで地味なイメージだった科学捜査のキャラクターに華やかな個性を与え、科学の知識を駆使して犯罪捜査に尽力するという現代風のキャリアウーマン像を作り上げた。

 

シーズン15で番組を降板したポーリーだが、自らが作り上げた“アビー”への想いは今も強烈だ。ポーリーは、「過去15年間、世界中で愛されたアビーを称えたい」という願いからポーリー・ペレット法科学奨学金を創設した。

 

同奨学金は、全米のリベラルアーツ系大学の中で唯一、刑事司法及び科学捜査を専門に学べる、ジョン・ジェイ大学の学生が対象。ポーリーは、「この奨学金が法科学を学ぶ若者たちの夢を叶える機会を提供することになれば」と語る。奨学金を得たリアル版“アビー”が司法制度に何か変化を与えてくれることを願っているという。

 

昨年の奨学金創設から一年弱、第一回目の授与者が決定した。ジョン・ジェイ大学一年生のアレクサ・ダリエンゾさんだ。

 

将来は犯罪捜査のためのラボで働きたいと考えているアレクサさん、奨学金の授与が決まり、これでお金の心配をしなくて済むとホッとしたとか。現在、ベーカリーと教会、二つのバイトを掛け持ちして学費の足しにしている。

 

「やっと勉強とキャリア作りに専念することができそうです。この奨学金は私の家族皆の経済的な重荷を軽くしてくれるでしょう。将来のゴールに一歩近づいた気がします」(アレクサさん)

 

“アビー”は、女性が従来少なかった仕事に足を踏み入れた理系女子。女性が理系分野で活躍することについてアレクサさんは、「科学の世界はこれまで女性を歓迎してはこなかったと思いますが、時代は変わりました。特に理系の仕事に就くという面では、以前ほど性別の問題は無くなったのではないでしょうか。他人が何と言おうと、自分が心から念じていれば、女性だってこの仕事に就けることは、すでに証明されています」と力強く語っている。

 

ポーリー・ペレット法科学奨学金の授与者は、年間最高7500ドルが最長4年に渡り支給される。

 

 

＜「jjay.cuny.edu」　1月17日＞