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海外ドラマ最新レポート Vol.227 「ER 緊急救命室」担当者が明かす 「レッドライン ~悲しみの向こうに」のノア・ワイリー、「エレメンタリー ホームズ & ワトソン in NY」のルーシー・リューらキャスティング秘話

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1994年にスタート、15シーズン続いた医療ものドラマシリーズ「ER 緊急救命室」。伝説のシリーズからはたくさんのTVスターが生まれた。同シリーズのキャスティングを担当していたジョン・リーヴィが米紙に当時の秘話を明かしている。

 

「ER 緊急救命室」から生まれた新人スターといえば、ノワ・ワイリー。今では「レッドライン ~悲しみの向こうに」「フォーリング スカイズ」など主演が続くスターも、「ER 緊急救命室」が始まる前はほとんど無名の新人だった。

 

「あの頃、ノアはいくつかの映画に出てはいたのだけど、どれも公開には至らなかった」と当時を振り返るリーヴィ。熱心に売り込みをかけていたノアのエージェントに根負けし、一度会ってみようとなった。「彼をプロデューサーの集まりに呼んだんだ。その日は、偶然マイケル・クライトンも来ていた。彼の前でノアは凄いことをやり遂げたんだ」

 

オーディションに用意されていた台本には、後にノアが演じることになる研修医のカーターが採血でヘマをやらかすシーンが描かれていた。「ノアは僕の二の腕を掴んで何かで縛り、鉛筆を使って(注射の代わりに)血を採る芝居を始めたんだ。クライトンはもうバカ受けだったよ。勇気に満ちたエキサイティングなオーディションになった。歴史に残る話さ」

 

マイケル・クライトンは「ER 緊急救命室」のクリエーターであり、ベストセラー連発の人気作家。その大物を前に度胸満点の即興芝居をやってのけ、ノアは大役を手にしたのだ。

 

そして「ER 緊急救命室」の功績の一つといえば、スーパースター、ジョージ・クルーニーを世に送り出したことだろう。ジョージも「ER 緊急救命室」以前は話題になるような映画出演もなく、日本では全く無名。一方、米国ではすでにいくつかのTVシリーズにはレギュラー出演していた経歴もあり、業界注目の中堅俳優だったという。

 

「彼は当時35歳(経歴では33歳)。ユーモアのセンスとどこか危ういムードを持つ、ハンサムな主演タイプの俳優だった。彼はすでに7つか8つのパイロット版から声が掛かっていたけれど、僕らもどうにか彼に脚本を読んでもらうことに成功した」どのTVキャスティングディレクターもジョージを欲しがっていた。だから良い作品に巡り合えば、スターになるのは間違いない存在だったのだ。

 

「ジョージは賢明だったね、ダグラス・ロス役こそがスターになる切符だと見抜いたのだから。ロス役と彼自身持ち合わせていた才能を組み合わせて、欠点さえも彼の魅力に変えた。その魅力が番組にとてつもないパワーを与えてくれた」ジョージ・クルーニーという唯一無二のスーパースターの誕生が「ER 緊急救命室」の伝説により磨きをかけたのである。

 

レギュラーだけではない、「ER 緊急救命室」にはチョイ役ながら、後に花咲くスターも数々ゲスト出演していた。リーヴィが特に覚えているのが、ルーシー・リュー(「エレメンタリー ホームズ & ワトソン in NY」)だという。

 

「ルーシー・リューの役には最初ほとんど台詞がなかった。妊娠した移民の女性の役で、ジョージといくつかのシーンを撮影したんだ。あのエピソードで、彼女はおそらく実際の自分とは全く違う女性を完全に演じきってくれた」ルーシーは「ER 緊急救命室」シーズン2のうち3エピソードにゲスト出演。ブレイク作といわれる「アリー・myラブ」より前に、ルーシーが初めて注目された瞬間だった。

 

傑作シリーズの裏にもう一つのドラマあり。キャスティングには笑いと涙と奇跡がつまっている。

 

 

<「hollywoodreporter.com」  2019年9月19日>