「STARTUP スタートアップ」のアダム・ブロディも今年で40歳。映画『ザ・リング』『Mr.&Mrs. スミス』、TVでは「ギルモア・ガールズ」、そして代名詞的なシリーズ「The OC」と常にヒット作に恵まれる中堅スターだ。
好感度の高いティーンエイジャー役から、「
STARTUP スタートアップ」では仮想通貨ビジネスにはまり込む男とさまざまな役を演じてきたアダム。俳優としてどんな基準で役を選んでいるのだろうか?米誌のインタビューに答えている。
「お金だね」と即答。もちろんジョーク、されど本音も少々。
しかし選ぶ基準の大部分は「いつも同じだよ。脚本家、そして監督がその作品を手掛けるにあたり利口であるかどうか」アダムは、彼らの頭の中に入り込んでいきたいのだという、とびきり優秀なクリエーターの頭の中に。全ては彼らの要求しているものを、自分が満たしたいがために。
「分かってるさ、それは無理な話だよ。彼らの要求を完全に満たせるほど、僕は何でもできるわけじゃないからね。ただ、自分にそれができればと願っているんだ」
アダムの答えから、なぜ彼が20年近くもハリウッドで活躍し続けているのかが分かるだろう。アダムは俳優としての仕事が、脚本家や監督の描くビジョンを満たすことだと知っているのだ。売れっ子俳優のエゴを振り回していては話にならない。チームプレイから成る作品を完成させるために、いかに脚本家や監督の要求を理解できるか。それが優れた俳優の能力だと。
「僕は器用にいろいろできるタイプだとは思っている、だけど何事もずば抜けているわけじゃない。皆で協力するのは得意だけどね」とアダム。
「何か特別な分野に秀でてる奴を探したいなら、僕より出来る奴を教えてあげるよ。僕はとにかく器用ではある。その才能を生かして、ストーリーをつむぐ世界の一員でありたいんだ」
若い頃のマゴマゴとした不器用なオタク君のイメージはすでに払拭した。確かに現在のアダムのイメージは多岐に渡る。「願わくば、自分の役に新しい何かを付け加えることができればと思うよ。背伸びもしてみたいけれど、むやみやたらに張り切ることはしないさ。同じような役を繰り返すのは嫌だし、自分がタイプキャストされる俳優だとは思っていない」
自分の演技の守備範囲は限定されていないと信じている。これまでいろいろな役に挑戦してきたから。似たような役ばかり廻ってくるタイプの俳優ではないと自負しているのだ。
「The OC」が終了してから13年。アイドルとして俳優人生が始まったようなものだから、「僕は現実的なんだ。この仕事で食っていけるんだから幸せさ」は、心からの言葉だろう。そして同じようなキャリアをたどってきた、レイトン・ミースター(「 ゴシップガール」)と2014年に結婚。翌年に長女、この9月に長男が誕生した。ハリウッド有数の人気カップルだが、プライベートはほとんど明かしていない。
「うまく(公私の)バランスを保てていると思う。僕らはあまりSNSに熱心じゃないんだ」
今が幸せ、仕事も家庭も。自分の才能や性格をしっかりわきまえ、アダムは人生の選択を間違わない。
<「gq.com」 2019年8月20日>