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レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー」でレイ・ドノヴァン(リーヴ・シュレイバー)の兄テリーを演じる英国出身の名優エディ・マーサンが、ソーシャルディスタンス時代を配慮した新ドラマに出演、家族も制作に全面協力した。
新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、今春以降、映画・TV業界でも大多数の撮影が停止された。最近になって、ようやく米TV界でも撮影が再開したが、一部の作品では以前からソーシャルディスタンスを最大限に配慮した撮影が行われていた。
その中の一つが、英ITVのミニシリーズ「Isolation Stories(原題)」。同シリーズはコロナ禍で、外出や人との触れ合い禁止を余儀なくされた家族のオムニバス物語。全4話から構成され、マーサン一家はそのうち第4話「Karen(原題)」に参加している。
同話について、エディが英TVのインタビューに答えた。
「Karen(原題)」は、マーサン一家の献身的な協力無しには完成しえなかったはずだ。主役を演じたエディ、そしてその子供役には実子のボディ君とブルー君が演技に挑戦した。さらに当日の撮影監督を務めたのはなんと妻のジャニーン・ステップさんだという。
「(妻のジャニーンは)素晴らしかったよ。彼女は本気で取り組んでくれた。自分でカメラを動かし、照明の位置を決め、音声を取るのも頑張っていた。加えて僕らのランチも作ってくれたんだからね、彼女はフル活動だよ」
ソーシャルディスタンスに配慮すれば、他の俳優やスタッフとは通常のように仕事できない。では他人がダメなら、常日頃一緒に行動している家族に頼めばいいという逆転の発想なのだ。
一人何役もこなしたジャニーンさんの奮闘にエディも拍手喝采だ。ジャニーンさんはもともとメイクアップアーティストで、現場を知らないわけではない。しかし、監督業は、本業とは全く違う世界。このため、「Karen(原題)」全体の監督である、デヴィッド・ブレアに技術的な指示を受けながら、ウェブ会議アプリのZoomを駆使して撮影が行われたという。
「Karen(原題)」は、妻が去った後、二人の子供と共に暮らす男(エディ)が、義父から、子供を彼らの母親、つまり男の元妻に会わせるよう説得されるというストーリー。撮影はマーサン一家の自宅で行われたが、必要なシーンを撮るためには、マーサン一家以外にあともう一人必要なキャラクターがいた。デヴィッド・スレルフォール演じる義父だ。ソーシャルディスタンスのため、デヴィッドが近づけるのは一家の庭の中だけ。デヴィッドは同シーンでの演技を全てマーサン宅の庭で行ったのだとか。
「この孤立した状況で、僕らの人生で何が起こっているか、生活にもたらされる苦悩を伝えるのがこの物語のコンセプトなんだ」とエディ。撮影裏話だけで、その大変さが伝わってくる。
それでも一つ収穫があった。子供たちの成長を実感したのだ。
「演技が気に入ったようだ」と、エディは演技の楽しみを知った子供たちが誇らしい一方、「撮影は大変だったけれど、勉強をさぼることは許さなかった」と、父親の顔も忘れない。非常事態下での撮影は、家族の絆を深めるのに一役買った共同作業となったようだ。
<「shropshirestar.com」 5月3日>