「
宇宙大作戦/スタートレック」の主役ジェームズ・T・カーク船長を演じていた、ウィリアム・シャトナーが、SNSで吐露した愚痴がファンの間で話題になっている。その愚痴とは、ツイッターに自身が投稿したツイートで「違うんだよ、お嬢さん。1973年より前(「宇宙大作戦/スタートレック」を含む)の作品には、印税(利用料)が発生しないんだ。だから、僕は君らに借りがあるとか、君らが見ているおかげだとか思わないで欲しい。そういうわけじゃないから」というもの。
どうやらウィリアムがファンとのツイート合戦で、つい「宇宙大作戦/スタートレック」のマネー事情を愚痴ってしまったらしい。「お嬢さん」なる、最初にウィリアムにケンカをふっかけた主のツイートはすでに削除されているが、もしかして「お嬢さん」は、(「宇宙大作戦/スタートレック」が放送されるたび、あなたにも印税が入るんでしょう)などと、皮肉っていたのかもしれない。
俳優らパフォーマーの権利が守られている米国では、映画やドラマなどの再放送時にもギャラが発生する。ツイートに出てくる印税とは、この再放送時の利用料のことを指しているのだろう。たとえばシットコム「ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則」は昨年終了したが、米国では現在でも毎日のように再放送されている。そのたびに、出演者にもいくらかのギャラが利用料として支払われている。さらに近年主流になりつつある動画配信サービスも、同様と考えて良いだろう。こうした事情を聞きかじっていれば、「お嬢さん」ならずとも、過去何十回とリピートされてきた「宇宙大作戦/スタートレック」で、主演のウィリアムは大金を稼いだはずと勘ぐるのも無理はない。
しかし、ウィリアムよれば、「宇宙大作戦/スタートレック」で稼いだお金は最初にもらった出演料のみ。つまりいくら再放送されても、配信されてもウィリアムの懐には一銭も入ってこないという。現在のハリウッドのマネー事情からは信じられない話だが、実は音楽や映像など音声の入った作品に対する“著作権”が米国の連邦法によって守られているのは、1972年以降の作品に限られている。1969年に終了した「宇宙大作戦/スタートレック」はこれに当てはまらないのだ。
もちろん、これはあくまでも連邦法による解釈。「宇宙大作戦/スタートレック」の作品自体の著作権はしかるべく法人が所有し、再放送にも配信もそれなりのマネーが発生するだろう。しかし、それが出演者にも支払われるかとなると話は別。1972年以前に再放送まで考慮した出演契約を交わした俳優はどれほど存在しただろう?
現在の「スタートレック」シリーズの成功を見れば、ウィリアムが愚痴りたくなるのも無理はない。それでもウィリアムをスターに押し上げたのは、「宇宙大作戦/スタートレック」以外あえりえない。どれだけお金があっても買うことはできないスターの座を、「宇宙大作戦/スタートレック」が与えてくれたのだ。
<「screenrant.com」 11月3日>