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海外ドラマ最新レポート Vol.290  オスカー俳優フォレスト・ウィテカー、「ゴッドファーザー・オブ・ハーレム」で伝説のギャングスター演じる

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NYハーレム地区を舞台に実在した伝説のギャングスター、エルズワース・“バンピー”・ジョンソンの暗躍を描くTVドラマシリーズ「ゴッドファーザー・オブ・ハーレム」。主演のフォレスト・ウィテカーがウェブメディアのインタビューに答えている。
 
日本ではほぼ知られていないが、バンピー・ジョンソンは、これまでさまざまなハリウッド映画やTVで描かれている米の有名ギャングスターだ。映画『コットンクラブ』ではローレンス・フィッシュバーンが、『アメリカン・ギャングスター』ではクラレンス・ウィリアムズ3世が、それぞれ演じてきた。これまでの登場作品ではあくまで脇のキャラクターの一人だったが、このたびバンピーを主役に描くのが「ゴッドファーザー・オブ・ハーレム」。そのバンピーを演じるのは、『ラストキング・オブ・スコットランド』でアカデミー賞主演男優賞を受賞しているフォレスト・ウィテカーだ。凄みと哀愁を感じさせる現代の名優の一人である。
 
「ちょっぴり風変わりなシチュエーションからドラマは始まる。バンピーは刑務所を出て11年ぶりにハーレムに帰ってきたのさ」(フォレスト)
 
パンピーは最愛の妻と娘と再会した喜びに浸りながら、再びこの街(NYハーレム地区)を自分の手に取り戻すという野心を燃えたぎらせている。バンピーの家族愛とギャングスターとしての生き様、それがこのドラマの芯なのだ。そして何より興味深いのは、バンピーという実在するギャングスターを主人公に史実をベースにしているところだ。バンピーは公民権運動や黒人解放活動のリーダー的存在、マルコムXとも交遊のあった男。バンピーの物語でありながら、1960年代における米国の激動の時代をも映し出している。
 
「僕らはドラマの始点を1963年に決めた。この年は黒人の公民権運動にとって重大な意味を持つからだ。1963年と聞いただけで、たいていの人にとって、このドラマが何を描こうとしているか分かってもらえるだろう」(フォレスト)
 
“1963年”は米国の現代史において節目と言える年だ。キング牧師がワシントンD.C.で「私には夢がある」の有名な演説を行った年であり、ジョン・F・ケネディ大統領が銃弾に倒れたのもこの年なのだ。「米国にとって大きな変化を引き起こした一年だった。だけど、今何が米国で起こっているか考えてみようよ。僕らは1960年代に問題を提起し、血を流しさえした問題で、今も議論を続けている。いかに僕らの生活にインパクトを与えた時代であるかということだ」(フォレスト)
 
製作総指揮・主演を兼ねるフォレストは、「ゴッドファーザー・オブ・ハーレム」を「ハードな仕事」と考えている。特に昨年起こったブラック・ライヴズ・マター(黒人に対する人種差別撤廃を求める運動)の後だけに、米国で4月からスタートするシーズン2は一層の注目を浴びることになるからだ。重いテーマである。けれど現代の米国社会における問題の原点を知りたい人には、見どころあふれる、うってつけのドラマといえるだろう。
 
 
<「smh.com.au」    2019年11月20日>