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ブラックリスト」でレッドやエリザベスとも深い信頼関係を築くFBIのハロルド・クーパーを演じる、ハリー・レニックス。映画、TV、舞台と幅広い活躍で知られる名優が過去に一度、引退を考えたほどの暗黒期を経験していたことを明かした。
ヴァーチャル開催されたイベント、ジャスティス・コンに参加したハリーは、「信じられないかもしれないけれど、僕は俳優を引退して、また学校に戻って教鞭を取ろうと考えていたんだ」とファンに向かって衝撃告白。ハリーは俳優になる以前、英語や音楽教師として教壇に立っていた時期がある。今も文化活動に熱心で、若いアーティストに活躍の場を与えることも。元来教えることが好きな性格らしい。
それはそうだとしても「ブラックリスト」以前から、映画『Ray/レイ』や『マトリックス』シリーズなど大作映画に出演してきた名優。俳優業から身を引くなんてもったいない。しかし当人は本気だった。「もうガックリしてしまったんだ。当時出演していた『ドールハウス』という番組が打ち切りになってしまってね。ジョス・ウェドン製作のドラマ・シリーズだ」2009年から2シーズン続いた『ドールハウス』は、それほど大ヒットしたわけでもなかったが、ウェドンが大物クリエーターということもあって、その終了がハリーにこたえた。
「番組は一年半続いて打ち切られた。それで当時のエージェントは僕のことも終わった奴と思い込んでしまったんだ。しばらくの間、ろくなオーディションも廻ってこなかった」 年齢的には40代半ば。しょげこむ年齢ではなかったが、そのエージェントは見る目がなかったのだろう。番組と一緒にウェドンからも切られたと思われていたのだ。ハリーは、その冷酷なエージェントを見限り、新しいエージェントと契約した。
これがダメならハリウッドとはオサラバと決めた。「そしたら電話が鳴ったのさ、新しいエージェントからだった。ザック・スナイダーが僕を映画『マン・オブ・スティール』で使いたいと言ってるとね」スナイダーが監督した『マン・オブ・スティール』で、ハリーがキャストされたのは米軍の最高司令官カルヴィン・スワンウィック将軍役。年齢にもキャリアにも釣り合う適役だ。『マン・オブ・スティール』は2013年の公開だから、この役にキャストされていなければ、同じ2013年からスタートした「ブラックリスト」に出演することもなかったかもしれない。ハリーはこの後、DCエクステンデッド・ユニバースの一員となり、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』『ジャスティス・リーグ: ザック・スナイダーカット』と立て続けに大作出演を決めた。引退間際からの大逆転。一度暗黒期を味わったことは、山あり谷ありの「ブラックリスト」のクーパー役にも重みを与えたはずだ。全ては芸の肥やしに。やっぱりハリーは俳優を辞めることはない。
<「screenrant.com」 4月18日>