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カジュアル」で、気ままなカジュアルデートを繰り返す独身男のアレックスを演じているトミー・デューイー。米国南部アラバマ州生まれのサザンボーイは、名門プリンストン大学を経て、ロンドンの英国王立劇芸術院で演技を勉強した演技エリートだ。
そのトミーのTVデビューは、アマンダ・バインズ主演のシットコム「恋するマンハッタン」(2004)。「カメラがいくつも並ぶマルチカメラのシットコムで観客を前に演じるんだ、緊張したよね」と当時の記憶をたどるトミー。アマンダがアイドル女優として人気絶頂だった頃、まだ20代半ばのトミー青年にとって、目もくらむようなハリウッドの入口に立った瞬間だった。
何よりトミー青年を刺激したのは、ある女優との共演だった。「僕は『ビバリーヒルズ高校白書』でジェニー・ガースにメロメロになってしまった。だから『恋するマンハッタン』で一緒になった時はもう溶けてしまいそうだったよ!」ジェニーはアマンダ演じるホリーの姉役で「恋するマンハッタン」に出演していたのだ。トミー青年にとっては自分がTVで見ていた憧れスターとの共演。俳優になって良かった~、そんな興奮の一瞬だったろう。
その後、「The Mindy Project(原題)」などコメディシリーズでの好演を続けながら、ついに主役級の役が廻ってきた。セス・グリーン主演の「Dads(原題)」(2013~14)だ。当時話題になったシットコムで、スターの座をつかみかけたと喜んだのもつかの間、その役はトミーの手からするりと抜け落ちた。トミーよりずっと知名度のあるスター、ジョヴァンニ・リビシにオファーされてしまったからだ。「あの時は最悪の気分だったね。だけど、それが巡り巡って『カジュアル』へとつながったんだ。あのまま『Dads』に出演していたら、今の僕はどうなっていたか分からない」
「Dads」は前評判にもかかわらず、1シーズンもたず打ち切りになってしまった。将来のなかったシットコムにスケジュールを抑えられていたら「カジュアル」に出合うことはなかったであろう。「カジュアル」では尊敬するジェイソン・ライトマン監督と仕事ができた。同監督の『マイレージ、マイライフ』はトミーの好きな映画ベスト5に入る作品だ。これからクリエーターとして、プロデューサーとして活躍を広げたいトミーにとって願ってもない出会いでもあったのだ。
現在、映像配信サービスParamount+の新アニメシリーズ「Rugrats」で声の出演中。ハリウッドがその才能を認知したから仕事には恵まれている。今や中堅どころのスター、もうトミーは誰にも仕事を譲るつもりはない。
<「glamour.com」 2015年10月7日>