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海外ドラマ最新レポート Vol.321  ボブ・オデンカーク、オーディション無しで役ゲットの「ブレイキング・バッド」で出世 「ベター・コール・ソウル」で自信もつけた

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ベター・コール・ソウル」で主役のジミー・マッギルを演じるボブ・オデンカーク。「ベター・コール・ソウル」は傑作ドラマシリーズと名高い「ブレイキング・バッド」の前日譚シリーズだ。「ブレイキング・バッド」で、ボブはジミーの別名であるソウル・グッドマンを演じ、そのパワフルかつコミカルな演技が評判を呼んだ。のちに「ベター・コール・ソウル」がスピンオフしたことからも分かるように、ソウル・グッドマンは重要なキャラクター。しかし、ボブはオーディションを受けることなくグッドマン役をゲットしたのだという。
 
勇気あるキャスティングを実行したのは製作総指揮のヴィンス・ギリガンとピーター・グールド。当時「ブレイキング・バッド」の脚本家ルームには、ボブが主演していたコメディショー「Mr. Show with Bob and David(原題)」がよく流れていた。「彼(ボブ)の早口のしゃべり、カメレオンみたいにクルクル変わるキャラクターづくりに感心した。ボブはたくさんのキャラクターを演じ分けていたからね。それを見て、彼こそグッドマンに適役だと考えた」とグールド。
グッドマン役のオファーを聞き、驚いたとボブ。シーズン2からの登場だから、すでに「ブレイキング・バッド」の評判は知っていたのだ。博打のようなキャスティングは大成功を収めた。今となればグッドマンはボブ以外には考えられない。
 
完璧にグッドマンを演じていたボブに対し、脚本家ルームではある冗談が飛び交っていた。「グッドマンに面白いことをさせたいなあ」。皆「Mr. Show with Bob and David(原題)」でコメディアンとしてのボブを覚えていたのだ。しかし、シリアスなドラマシリーズだった「ブレイキング・バッド」のテイストには合わず却下されていた。その「冗談から駒」が叶う時が来た。「ベター・コール・ソウル」だ。
 
「ブレイキング・バッド」でドラマ演技を覚え、「ベター・コール・ソウル」では自身の持ち味を加えた。「彼は俳優として自信をつけてきたね。シーズンごとにそれを感じるし、当然だと思う。だって本当にシーズンごとに素晴らしくなるんだからね」とギリガン。俳優として、恐ろしいはずの台詞無しの演技を要求されるシーンでさえ、ボブは楽しんでいるように見えるという。
 
それでも「ベター・コール・ソウル」は俳優としてチャレンジの多い難役。1シーズン当たり10話の製作だが、ニューメキシコ州アルバカーキでの撮影のため、ボブは同地に別宅を購入した。レイ・シーホーンやパトリック・ファビアンも同様。リハーサルから厳密な演技合戦だから、オフの時間は自宅で気持ちを鎮めたいということだろう。ジミー・マッギル/ソウル・グッドマンはボブにとって、生涯の当たり役かもしれない。自他ともに認める実力派、その渾身の演技を「ベター・コール・ソウル」で確認したい。
 
 
<「backstage.com」  3月17日>