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ブラックリスト」でFBIのITスペシャリスト、アラム・モジタバイを演じているアミール・アリソン。劇中では本職のITだけでなく、フィールドエージェントとしても現場で活躍、おとぼけキャラがシリアスなムードを和ませる人気者だ。
十分すぎるほどの働きを見せているアラムが、今シーズン新たな才能を披露するエピソードが放送された。シーズン8第6話「ウェルストーン・エージェンシー」で、手話を使ってレッド(ジェームズ・スペイダー)と“大佐”(ボブ・ヒルターマン)の会話を通訳してみせたのだ。
「4ページ半もの手話のシーンがあったんだ。僕の俳優人生の中で一番キツイ仕事の一つになったよ」 米のエンタメサイトのインタビューで正直に答えるアミール。俳優だから長台詞はお手の物だが、手話となると別の話。「僕は手話に関しては全くの門外漢だった。興味はあったんだよ。大学で勉強してみたかったけど、クラスが無かったんだ」 そして突然の4ページ半。「手話シーンのために4週間の準備期間をもらった。だけど、数行じゃなく、1ページでもなく、4ページ半だからね。それに僕は2人に対して通訳をするわけさ。一人はレッド。レッドの長い台詞を手話で伝えなくちゃいけない。相手は(大佐役の)ボブ・ヒルターマンさ。彼は聴覚障がい者なんだ。聴覚に障がいがある大佐を演じるボブ自身が障がい者。素晴らしいキャスティングだと思った」
至宝のような俳優ジェームズ・スペイダーと聴覚障がい者の俳優ボブ・ヒルターマン。彼らに対し自分の最高の演技で向かわねば、シーンの緊張感を台無しにしかねない。「僕は皆の台詞を記憶した。大佐の手話を理解し、レッドに口頭で伝える。その逆もしかりだ。役として、僕は信頼に足る通訳者のように振舞わなきゃならなかった」
手慣れた手つきで手話を見せるだけではない、そこにはアラムとしてのキャラクターがあり、そのシーンに合った精神状態を演技しなければならない。幾重にも重なった挑戦に、この時ばかりはアミールも心底疲れたよう。「これほど準備して臨んだことは今まで無かったね」しかし、元々興味を持っていたこともあり、撮影後はすっかり手話にはまってしまったらしい。
「6週間の初心者手話コースで勉強したんだ。今じゃすっかり手話の魅力に没頭して、聴覚障がい者のコミュニティにも参加しているよ。手話でコミュニケーションを取るのはとっても楽しい。今シーズンの出来事の中で、僕のプライベートに一番影響を与えたんじゃないかな」
4ページ半の努力が未知なる出会いへと変わった。演劇や映画製作など多方面に活躍するアミール。そこにまた新しい表現方法が加わったようだ。
<「nerdsandbeyond.com」 7月28日>