サスペンス・スリラー「
プロディガル・サン 殺人鬼の系譜」で、元FBIの優秀なプロファイラー、マルコム・ブライトを演じる英俳優のトム・ペインが、米エンタメサイトのインタビューに答えている。殺人鬼の父の元に生まれた犯罪心理学者を演じるにあたり、どんな役作りを行ったのだろう。
「幸いにも今の時代、そういった(犯罪者心理についての)資料はたくさん世に出ている。その中から、僕と同じような境遇(犯罪者の身内)のものを選んで参考にしている」 犯罪プロファイラーに焦点を当てた作品はたくさん製作されてきたが、そこに“殺人鬼の息子”なるツイストを加えたのが「プロディガル・サン 殺人鬼の系譜」。トムの役作りは後者に重きを置いた。
「特に(製作総指揮の)サラ・シェクターが教えてくれた『Happy Face』というポッドキャスト番組にハマったね。殺人鬼の娘の話なのだけれど、父親が殺人鬼だったという現実がいかに彼女の人生に影響を及ぼしているか、さらにその父親によって人生を変えられた人たちとの交流も描かれているんだ。複雑な境遇を理解する上でとても役に立った。苦痛や悲しみもたくさん描かれているから、何度も涙したよ」
役作りの段階で資料に心を揺さぶれるほど感受性豊かなトム。撮影に入ると、役に同化するほど影響を受けることもあるらしい。「ウォーキング・デッド」に出演していた頃はよくゾンビに悩まされた。 「家に帰るとあちこちにゾンビがいたものさ」と苦笑い。幻影はベッドの中にまでつきまとう。「撮影の後は何週間も夢にゾンビが出てきたよ」
では「プロディガル・サン 殺人鬼の系譜」撮影の後に見る夢は? 「殺人鬼の夢を見るのは御免だね、僕は怖がりだから。演じている役とプライベートの自分を分けておけるようになりたいものだよ」 「プロディガル・サン 殺人鬼の系譜」では精神的にも肉体的にもハードな演技を要求されるから撮影後はくたくただとトム。
そんなタフな現場で飛び切り嬉しいことがあった。パイロット版撮影でのこと。 「父親が(殺人鬼の)マーティン・ウィットリーだと認めるシーンがあったんだ。とても難しかったけれど、同時に忘れがたい素晴らしいシーンになった。僕が彼を父親だと認めた瞬間、なんていうかピンが落ちたような気がしたんだ。周りのクルーも彼(マルコム)の気持ちを読み取ったんじゃないだろうか。本当に最高だったね」
トムの「プロディガル・サン 殺人鬼の系譜」出演を決めた理由の一つが、殺人鬼マーティン・ウィットリーを演じる名優マイケル・シーンの存在。トム同様、名優にもピンの落ちる音が聞こえたのだろうか。エピソードを重ね、父と息子の関係が深まるほど、作品の見ごたえも深まるはずだ。
<「assignmentx.com」 2019年11月24日>