ニュース

海外ドラマおすすめコラム vol.67  カナダの最新医療ドラマ「トランスプラント 戦場から来た救命医」を独占日本初放送

transplant_yoko.jpg
4月のスーパー!ドラマTVの目玉は「トランスプラント 戦場から来た救命医」の独占日本初放送開始。まずユニークなのはカナダのドラマであること。もうあちこちで書いたり語ったりしたが、米国に面したカナダは米国の映画・ドラマの撮影・収録が行われることが多く、西海岸のバンクーバーは北米大陸でロサンゼルスに次いで映像産業が盛んだという。そして従来は“米国の下請け”的イメージがつきまといがちだったが、ここ10年間位は、日本版も作られた「オーファン・ブラック 暴走遺伝子」、エミー賞でコメディシリーズ作品賞に輝いた「シッツ・クリーク」など、カナダ独自のドラマが高い評価を得るように。
 
医療ドラマの世界的ヒット作は少なかったが、この「トランスプラント~」はすぐに隣国の全米NBCネットワークのゴールデンタイムで放送され、未製作だったシーズン2の放送権までNBCは取得。カナダのアカデミー賞、カナダ・スクリーン・アワードではドラマシリーズ作品賞、主人公バシル(バッシュ)役のハムザ・ハクに対する主演男優賞など4部門を制した。
 
そんなバシルがシリア難民であるのが最大の見もの。2011年から今も内戦が続くシリアでは、一説によれば約50万人が命を落とした。また、中東系ということで偏見・差別を受けるバシルだが、先進国でこうしたドクター像は異例。緊急医療科を舞台にしたメディカルドラマとあって見せ場は治療や手術の場面となるが、シリアでバシルはどう生きていたのか、どうやってカナダにたどり着いたのかというミステリーの要素からも目が離せなくなる。バシルはとんでもない方法で患者を救うことがあるが、恐らく戦場仕込みなのではないか。加えて米国の医療ドラマは、“国民皆保険”に支えられた日本の医療システムと異なり、“?”と感じることがあるが、カナダも“国民皆保険”の国で親近感がわく。次世代の人気医療ドラマになる可能性はけっして少なくないのだ。
 
 
【アメリカTVライター 池田敏 2022/4/1】
 
池田敏:海外ドラマ評論家。海外ドラマのビギナーからマニアまで楽しめる初の新書「『今』こそ見るべき海外ドラマ」 (星海社新書) 発売中。