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海外ドラマ最新レポート Vol.428  「宇宙大作戦/スタートレック」のニシェル・ニコルズさん、死去

 

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宇宙大作戦/スタートレック」で通信士官のウラ(ウフーラ)を演じたニシェル・ニコルズさんが米時間の7月30日、死去した。89歳だった。 1932年イリノイ州に生まれた二シェルさんは、ミュージカルスターとして頭角を現した後、1966年に米NBCで放送がスタートした「宇宙大作戦/スタートレック」に出演した。当時、大手ネットワークのTVシリーズにメインのキャラクターとして出演した黒人俳優は皆無に近く、二シェルさんは米TV界で人種の壁を打ち破った俳優の一人とされる。
 
また、二シェルさんの果敢な挑戦は「宇宙大作戦/スタートレック」のレギュラー出演だけではない。人種間の緊張が色濃く残っていた1968年、二シェルさんは主演の白人俳優ウィリアム・シャトナーとキスシーンを演じたのだ(シーズン3第10話「キロナイドの魔力」)。この異人種間のキスシーンは米TV史上、もっとも初期に行われたものの一つと言われており、放送時は議論を呼んだという。
 
「宇宙大作戦/スタートレック」の放送初期は視聴率が伸び悩み、二シェルさんもブロードウェイから声がかかっていたことから、シーズン1での降板を考えていたという。しかし、番組のファンだったマーティン・ルーサー・キング牧師に「あなたは黒人として初めて、美しく知的で、かつ歌って踊り、宇宙に飛び立つ人物を演じています。あなたが辞めたら(黒人にとって)そのドアは閉ざされてしまう。あなたの役は黒人じゃなくてもいいんですから。エイリアンだって、あの役を演じられるんですよ」と諭され、翻意したという。その判断は後に正しかったことが証明される。「宇宙大作戦/スタートレック」は米TV史に残るSFシリーズとなっただけでなく、二シェルさん自身も全3シーズン及び映画版6作に出演する代表作となった。
 
さらに、特に黒人コミュニティにおける影響力は測り知れない。黒人女性初のNASA宇宙飛行士となったメイ・ジェミソンは、二シェルさんが演じたウラに影響され、宇宙飛行士を志したという。 二シェルさんに憧れ、演技を始めたアカデミー賞受賞の黒人女優ウーピー・ゴールドバーグは、TVのトークショーで「(ウーピーが子供だった頃)彼女は未来を期待させてくれる初めての黒人でした」と最大限の敬意を送り、『スタートレック』映画版第11作からウフーラ役を引き継いだ同じく黒人女優のゾーイ・サルダナは自身のSNSで「ニシェルとの出会いは、私の人生において本当に特別な瞬間」とその縁に感謝の意を伝えている。
 
 
<「deadline.com」  7月31日>