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CSI: ベガス」で再び「CSI」シリーズに復帰したウィリアム・ピーターセン。2000年から15シーズン続いたオリジナル「CSI: 科学捜査班」の大成功、続く「CSI: マイアミ」「CSI: ニューヨーク」などのスピンオフの誕生は、ウィリアムの存在無しには考えられない。ウィリアムが演じたキャラクター、“ギル・グリッソム”は、CSIのアイコンのような存在と言えるだろう。“グリッソム”に命を吹き込んだウィリアムは、その功績を誇りに思っているはずだ。
しかし、ウィリアムにとって一番の自慢は別にあるという。 「『CSI: 科学捜査班』をきっかけに、大勢の人がキャリアをスタートさせた。(シリーズが続いた)10年、15年の間にどのくらい多くの人たちが仕事を得たことか。僕には、それが一番の自慢なんだ」 「CSI: 科学捜査班」でチャンスをつかんだのは、出演者だけではない。大ヒットシリーズとして製作費に恵まれ、スタッフは大所帯だったはず。彼らの中には、ここを起点にショービジネスの階段を駆け上がった人が少なくなかったと言うのである。
大勢の仕事を生み出した「CSI」シリーズを誇りに思う一方で、ウィリアムの中には不満も生まれていた。 「僕はずっと『CSI: 科学捜査班』から抜け出せなかった。舞台に立つことさえ許されなかった」 ウィリアムはアイダホ州立大学在学中に演技に目覚め、大学を中退するほどのめり込んだ。1985年の映画『L.A.大捜査線/狼たちの街』でブレイクするまでは、地元イリノイ州の名門演劇集団ステッペンウルフ・シアター・カンパニーなどで活躍した舞台俳優だったのだ。 「『CSI: 科学捜査班』を辞めた理由の一つは、このままでは舞台に戻れないと思ったからだ。映画やTVに慣れてしまって、舞台に上がることが恐ろしくなってしまう俳優を何人も見てきたからね」 舞台出身だとしても、一度映画やTVで名が売れてしまうと、彼らが舞台に戻ることは珍しくなる。舞台が儲からないわけではない。NGや撮り直しが許されない舞台に上がることが恐ろしくなるというのだ。
しかしウィリアムは戻ってきた。 「『CSI: 科学捜査班』を辞めると決めた時、(ステッペンウルフ・シアター・カンパニーの)仲間からカンパニーに入らないかと打診されたんだ。嬉しかったね。僕の人生で大切に思う仲間のほとんどはステッペンウルフにいるんだよ」 ウィリアムが若かりし頃、ステッペンウルフ・シアター・カンパニーに出演していた時はあくまでもゲストとしての参加だったが、今度は正式な劇団員としての招へいだ。同じ劇団員にはジョン・マルコヴィッチ、ジョーン・アレン、ローリー・メトカーフらそうそうたる実力派が名を連ねている。TV、映画、そして舞台。気心の知れた仲間たちと、ウィリアムはこれからも演じ続けていくつもりだ。
<「chicagotribune.com」 2017年12月26日>