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海外ドラマ最新レポート Vol.453  「NCIS: LA 極秘潜入捜査班」のAD、現場の食品ロスをホームレスに分配

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映画、TVの撮影現場では、ケータリングなど食事サービスがつきもの。スタジオやロケ現場で働く、スターや製作スタッフの胃袋を満たすためだ。製作費に恵まれたハリウッドでは、食事サービスも豪華。ステーキ、シーフード、デザートまでグルメなスターたちをも満足させる質と量が日々提供されている。問題はふんだん過ぎること。余剰、つまり食品ロスが生まれてしまうのだ。 そこで「NCIS: LA 極秘潜入捜査班」のADとして働く二人の女性が、ハリウッドの食品ロスに待ったをかけた。
 
「なぜ、私たちはこんなに食事を捨てているのかと思ったんです」と米オンラインメディアに語るのは、「NCIS: LA 極秘潜入捜査班」のAD、ヒラリー・コーエンさん。 「私たちがこんなに素晴らしい料理をいただいているのを、フェンスの向こう側の人がどう思っているかと」 フェンスの向こう側の人とは、経済的理由から食事を満足に摂ることのできない人たちのこと。気候の温暖なLA地域は深刻なホームレス問題を抱えている。近年の物価上昇、不景気が拍車をかけ、過去2年の間に彼らの住むテント居住地が増加しているという。
 
コーエンさんは、「NCIS: LA 極秘潜入捜査班」の同僚サム・ルーさんと協力して、2020年にハリウッドの撮影現場から出る食品ロスの再配分を目的としたボランティア団体エヴリ・ディ・アクションを設立した。賛同を得たTV番組などから食事サービスの余剰分を回収、ホームレスらに配分しているのだ。 エヴリ・ディ・アクションのメンバーは、コーエンさんらと共に現場で働くプロダクション・アシスタントや無名俳優たち。活動資金は「アメリカン・アイドル」の初代アイドル、ケリー・クラークソンや「NCIS: LA 極秘潜入捜査班」、その他大手スーパーマーケット・チェーンから提供を受けたという。
 
肝心の食事サービス回収を受け入れてくれるTV番組も増えてきた。これまで「NCIS: LA 極秘潜入捜査班」を始め、「インセキュア」「ユーフォリア/EUPHORIA」など15番組が協力、今年9月は過去最高となる9000食を回収・配分したという。 ルーさんは「私たちはこの活動をLA地域、さらにはカリフォルニア州全体の標準としたいと考えています。ハリウッドで撮影されている全ての作品が参加すべきだと思います。撮影から食品ロスを無くしたいのです」と訴える。
 
コーエンさんとルーさんは今も「NCIS: LA 極秘潜入捜査班」の現場でADとして働いている。ADの仕事は一日10時間から12時間。その仕事終わりや合間を縫って、日々エヴリ・ディ・アクションの作業を行っている。 他のボランティア団体とも連携も取れてきたが、壁にぶつかることもしばしば。それでも、二人の合言葉は「今日がダメなら、また明日」。ハリウッドから食品ロスが無くなるその日まで、睡眠時間を削ってでも頑張り続けるつもりだ。
 
 
<「yahoo.com」  10月14日>