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海外ドラマ最新レポート Vol.479  「LOVE LIFE」ウィリアム・ジャクソン・ハーパー、もがき苦しんだシェアハウス時代

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LOVE LIFE」シーズン2で、アナ・ケンドリックから主演のバトンタッチを受けたウィリアム・ジャクソン・ハーパー。マーベルの最新映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』に出演するなど、今最も注目される俳優の一人だ。 そのウィリアムが米エンタメサイトのインタビューに答え、苦しかった下積み時代について語っている。
 
LAW & ORDER」シリーズ、「ブラックリスト」など数々のTVシリーズのチョイ役出演を重ね、2016年のコメディ「The Good Place」でブレイクしたウィリアム。2003年にニューメキシコ州の大学を卒業し、NYに出て俳優を目指したわけだが、その道のりは決して平たんではなかった。 オフブロードウェーの舞台で演技経験を積んだウィリアムが、手ごたえのある作品に出会えたのは、2014年のブロードウェー舞台「All The Way」。リンドン・ジョンソン米大統領の活躍を描いた作品で、主演は「ブレイキング・バッド」のブライアン・クランストン。同年トニー賞演劇作品賞を受賞した話題作だった。 当時34歳だったウィリアムにとって、端役ではあったが、話題性も評価も高かった作品にキャストされたことは大きな自信につながった。
 
「あの時初めて、これが自分のやりたかった仕事だと思えました。すごくクールでしたよね、ブロードウェーの舞台で政治劇ができるのですから」  アーティストとしての満足感だけではなく、生活の質も向上した。 「(初めて)生活していけるだけのギャラをもらえました。家賃の支払いに困らなくなりましたね。私がNYに来たのは、そんな生活がしたかったからなんです」 「All The Way」の公演中は満ち足りた毎日だったが、長くは続かない。必ず千秋楽がくるのが舞台。 「All The Way」が終わると同時に、ウィリアムの生活は元に戻ってしまった。あてにしていた企画が幾つもおじゃんになり、仕事にあぶれてしまったのだ。
 
「苦しかったですね。すごく落ち込んでしまって、家賃を払うのに四苦八苦するのも辛かったです」 当時、ウィリアムはお金のかかるNYの生活を引き払い地元に帰る選択も視野に入れていた。それほど追い詰められていた。 「もがき続けるのに、もううんざりでした」  幸いルームメイトに恵まれた。彼らはNYで同じく夢を追う仲間たち。困った時はお互い様と生活を支え合った。感謝はしつつも、ウィリアムはどこか冷めていたという。いつまでもシェアハウスの生活でいいわけじゃないと。
 
「仕事があるかどうかで、僕は自分の評価を決めていたんです。精神的に弱っていたし、仲間とも険悪なムードになりかけていました」  ウィリアムの人生、どん底はこの時。しかし、起死回生のチャンスは意外と早く巡ってきた。NBC「The Good Place」に準主役ポジションでキャストされたのだ。クリステン・ベル、テッド・ダンソン出演のファンタジーコメディは好評で全4シーズン製作された。 「シーズン1が終わり、次のシーズンも製作されると知った時、僕は初めて(俳優として)次の段階に進んだと思えました」とウィリアム。アーティストとしての満足感は二の次だったとしても、ただ家賃の支払いに困らない生活が続くことに安堵していたのだ。
 
そんなウィリアムが「LOVE LIFE」シーズン2で初主演。今も現場では緊張するが、それもだんだん落ち着いてきた。売れっ子であることに慣れたのだろう。
「僕は本当に一生懸命やっています。だから、なるべくしてこの場所にいるんだと思っています。人生のシナリオ通りに進んでいるんだとね」  俳優を辞めるか悩んだのはほんの数年前のこと。ウィリアムの人生のシナリオはフィクションよりもドラマチックだ。
 
 
<「nme.com」  2022年7月21日>