「LAW & ORDER: 性犯罪特捜班」で長年に渡り、ジョン・マンチ刑事を演じていた俳優・コメディアンのリチャード・ベルザーが、亡くなっていたことが明らかになった。78歳。 死去の一報は、リチャードの友人でコメディアンのラレイン・ニューマンのSNSだった。

 

「リチャード・ベルザーが亡くなったと聞き、とても悲しい気持ちでいます。彼のことが大好きでした。『サタデー・ナイト・ライブ』に出演するためNYに出てきた時、最初にできた友人の一人でした。彼は私の知る限り、もっとも面白い人の一人。観衆に向けたトークの上手な天才でした」（@larainenewman)

リチャードのキャリアの始まりはコメディアンだった。「サタデー・ナイト・ライブ」のレギュラー・オーディションには受からなかったものの、その後幾度もゲスト出演、コメディの才能に磨きをかけた。

 

やがて、その才能の矛先は演技に向けられた。1993年にスタートしたNBC「ホミサイド／殺人捜査課」にレギュラー出演。ボルチモアを舞台にした本格的刑事ドラマで、リチャードはジョン・マンチ刑事役を演じた。これは「LAW & ORDER: 性犯罪特捜班」での役名と同じだ。 実は「ホミサイド／殺人捜査課」製作総指揮者のトム・フォンタナと「LAW & ORDER: 性犯罪特捜班」のディック・ウルフが親しかったことから、「ホミサイド／殺人捜査課」が終了した1999年、入れ替わるようにNBCでスタートした「LAW & ORDER: 性犯罪特捜班」に、ジョン・マンチ刑事の登場が決まったのだ。ボルチモア市警から新しい舞台となるＮＹ市警への異動という形での、異例の再登場だった。

 

リチャードにとって当たり役となったジョン・マンチ刑事は、米刑事ドラマ界におけるアイコン的存在だ。「LAW & ORDER: 性犯罪特捜班」以外にも「Ｘ－ファイル」「LAW & ORDER」「ブル～ス一家は大暴走！」「THE WIRE／ザ・ワイヤー」などに、同名の役でゲスト出演している。 げっ歯類を想像させる顔立ちと小さめのメガネ、ちょっぴり辛辣なジョークが、ジョン・マンチ刑事の代名詞。個性はそのままに、どんな作品に登場してもすぐにその世界観に溶け込んでしまう存在感の出し入れが見事だった。

 

「LAW & ORDER: 性犯罪特捜班」のディック・ウルフは声明文で「リチャード・ベルザーが演じたジョン・マンチ刑事は、TVが生んだキャラクターにおいてアイコン的存在の一人でしょう。彼は私たちの生活にユーモアと笑いを運んでくれました。そして彼は完璧なプロフェッショナルでもありました。彼を亡くしたことを寂しく思います」とコメント。 また「LAW & ORDER: 性犯罪特捜班」主演のマリスカ・ハージティは、共演者の死去に「さようなら、私の親友。あなたのユニークな存在感や、この奇妙な世界に対する物の見方を失うなんて残念です。私はあなたと知り合い、長い間、あなたの側で仕事ができて幸せでした。天使たちはあなたがやって来てさぞ楽しいことでしょう。彼らの笑い声が聞こえてくるようです」とSNSを使って、追悼の意を伝えている。

 

 

＜「deadline.com」   2月19日＞