この海外ドラマおすすめコラムvol.66でご紹介した通り、「LAW & ORDER(L&O)」フランチャイズ第7のシリーズ「
LAW & ORDER: 組織犯罪特捜班」は、「L
AW & ORDER: 性犯罪特捜班」のシーズン1~12に登場したエリオット・ステイブラー(クリストファー・メローニ)の復活が見もの。と同時に、ほとんど各話で事件が解決してきた「L&O」だが本作は連続ドラマに転じたのが新鮮で、シーズン1はステイブラーら犯罪組織対策チームと大物犯罪者ウィートリー(ディラン・マクダーモット)の対決を軸に。シーズン1が全8話で終わったことに物足りなさを感じた人がいたかもしれないが、このシーズン2は全22話にボリュームアップし、全体的には3部作のような構成で、いよいよ大河犯罪ドラマとして大きく進化。
ステイブラーは新たにアルバニア系ギャング団に潜入するが、筆者のように長年、米国ドラマを楽しんでいる人なら2つのポイントで“おぉ!”と引き込まれる。「L&O」フランチャイズを放送している全米NBCネットワークは1980年代、潜入刑事もの「マイアミ・バイス」を放送し、そして「L&O」「シカゴ」「FBI」という3大フランチャイズの超大物製作者ディック・ウルフはそんな「マイアミ・バイス」に参加していた。潜入捜査に挑み、敵に囲まれて神経をすり減らし続けるステイブラーの姿は、演じるメローニ(製作総指揮も務める)の熱演もあって必見だ。ウィートリーは再登場するし、ステイブラーの同僚ベル(ダニエル・モネ・トゥルイット)ら女性陣も見せ場がたっぷり。NBCは地上波だが本作はアクションも迫力満点で、LGBTの要素も。
唯一残念なのは「LAW & ORDER: 性犯罪特捜班」のマンチにも登場してほしかったが、演じるリチャード・ベルザーは今年2月19日に逝去。だがベルザーは天国からかつての仲間たちの活躍を見守っているだろう。
【アメリカTVライター 池田敏 2023/2/28】
池田敏:海外ドラマ評論家。映画誌「スクリーン」などに寄稿し、TV・ラジオで出演や監修をすることも。著書は「『今』こそ見るべき海外ドラマ」(星海社新書)など。