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トランスプラント 戦場から来た救命医」で救急医療科の研修医マグスを演じている、カナダ人女優のロランス・ルブーフが、米メディアの取材に答え、意外にも英語の台詞に苦労したと話している。
ロランスはモントリオールの生まれのフランス系カナダ人、フランス語の環境で生まれ育ったという。子役としてデビューした作品はフランス語で製作されたTVシリーズ。子役時代はフランス語で演じていたのだ。16歳になって英語が流暢に話せるようになったというロランスは、これまでも数々の英語のTVシリーズや映画に出演してきた。 それでも「フランス語が私の母国語なの。周りは皆フランス語を話していた。両親も友達もね」と、あくまでも英語は外国語のようなもの。苦手意識はどこかに健在らしい。
しかし、「トランスプラント 戦場から来た救命医」の舞台はトロント。使われる言語も当然英語だ。 「英語をずっと話しているから、(フランス語の)アクセントもだんだんと消えてきたと思う」とロランス。自身の英語はどんどん上達しているが、モントリオールに住む母は娘の英語に追いつけなくなってきたのだとか。番組を「フランス語の吹き替えで見ているみたい。英語だと私のしゃべっている言葉が早すぎて理解できないらしいの」 無理もない。「トランスプラント 戦場から来た救命医」は医療ドラマ。フランス語圏のロランスだけでなく、他の英語圏の俳優たちも台詞に含まれる医療用語には悩まされているのだ。
「最初に脚本を開いたときは、マグスはなんて数字オタクなのかと思ったわ。彼女はクラスを一番で卒業し、仕事に人生を捧げている女性。自分の時間なんてほとんどないくらいにね」 自分と違いすぎるマグスに驚いたロランスだが、役作りのために工夫も加えた。 「マグスはずっと早口でしゃべるイメージにしたいの。彼女はちょっぴり社交下手だと表現したくて。コミュニケーションがぎこちないのも彼女らしいんじゃないかしら」 とはいえ、まだ苦手意識のある英語。医療用語を早口でしゃべり続けるのは簡単ではない。「ハムザ(・ハク)とも話し合ったのだけど、これは皆にとってのチャレンジね。とにかく台詞が難しい。私だって、マグスが何を言っているのか意味はさっぱり分かってないのよ」
話す内容にはギブアップだが、俳優たるもの言葉は正確に伝えなければならない。台詞中の医療用語の発音やアクセントについては、専門家を招いて指導してもらっているのだとか。 英語と医療用語には四苦八苦だが、苦労のかいはあった。「行く先々で(視聴者から)すごく誉めてもらえるの。こんなに嬉しいことはないわ」
2022年にはカナダのTV・映画界でもっとも権威あるカナダ・スクリーン・アワードで主演女優賞を受賞した。「トランスプラント 戦場から来た救命医」の演技が認められたのだ。 最大の賛辞を得て、ロランスはますます活動の幅を広げることだろう。その英語もさらに磨かれるに違いない。
<「nypost.com」 2020年11月27日>