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S.W.A.T.」でホンドー(シェマー・ムーア)の頼れる右腕的存在ディーコンを演じているのが、ジェイ・ハリントン。「デスパレートな妻たち」や「5人の女刑事たち ザ・ディヴィジョン」など人気TVシリーズにも出演していた愛嬌あるイケメン俳優だ。
「S.W.A.T.」ではゴリゴリに鍛えた体を披露しているが、俳優業の一方でジェイにはもう一つの顔があった。それはサンタモニカのピザ店「Rock ’N Pies(ロックンパイズ)」のオーナーだ。「ロックンパイズ」のオーナーになって2年近くになるが、ジェイはもともとこの店の常連。当時のオーナーと友達になり、居心地が良くなった。「S.W.A.T.」のパイロット版が完成した時にはキャストやクルーを招いて鑑賞会を行ったこともある。
そんな大好きな店がある時、売りに出されたと知った。自分の居場所がなくなるようで、ジェイは思い切って店を買い取った。その日以降、ジェイは毎日、店に顔を出している。ピザを客席に運んだり、キッチンの様子を見守ったり、オーナーとして店の隅々に目を配っている。
「『S.W.A.T.』の撮影は一日に8時間から10時間、それが週に5日だ。それでも僕自身のルールとして最低2~3時間は店に出るようにしている」 ジェイの決めたルールはもう一つ。なるべく店を変えないこと。オーナーになったからと言って、自分の色を出すつもりはない。「ロックンパイズ」にやってくるお客さんはジェイのファンばかりではない、大多数はお店のファンなのだ。
それはメニューの価格にも反映されている。 「インフレには大打撃を受けているよ。レタスなんて値上がりが凄くてね」と苦笑い。それでも「オーナーが変わったからと言って、価格を上げるようなことは絶対ない。それだけはハッキリしておく」と、新オーナーは約束する。店には相も変わらず同じメニューが掲げられている。
「ピザ2切れとソーダで$10」
「ピザ2切れとビールで$15」
サンタモニカでは破格の値段も、ジェイは涼しい顔。
「皆にこの店を安くてうまい店だと思ってほしいんだ。町一番の高級店じゃない。知ってるだろ、皆苦しんでる。だから、僕も今を耐えている。どこまで頑張れるか分からない。いつの日かそれが吉と出るといいんだけど」
誰もが気軽に店にやってきてほしいから、酒類もビールとワインだけ。ハードリカーは置いていない。 「もっと強い酒を置けば違う客層も呼べるんだろうけど、やりたくないんだ。僕はこの空気感を大事にしたいのさ。常連はピザとビールやワインを飲みに週に2、3回足を運んでくれる。それがこの店なんだ」
元のオーナーから内装も引き継いだまま。お洒落で、ロックで、最高にアメリカン。「S.W.A.T.」ファンのみならず、サンタモニカを訪れたなら一度は訪れてみたい店なのだ。
<「la.eater.com」 3月1日>