「LAW & ORDER」と聞いて、テーマ曲が真っ先に頭に浮かぶ海外ドラマファンも多いだろう。“ジャンジャジャジャジャーン”で始まるテーマ曲だ。この印象に残るテーマ曲は開始以来変わらぬまま、スピンオフでもアレンジこそ加えられているものの、同じテーマ曲が使われている。
作曲したのは、「私立探偵マグナム」「特攻野郎Aチーム」から「天才少年ドギー・ハウザー」まで、数々のTVシリーズのテーマ曲を手掛けてきた売れっ子作曲家マイク・ポスト。ポストは、「LAW & ORDER」テーマ曲として、ギター、電子ピアノ、クラリネットなどの楽器を組み合わせ、キャッチーなジャズの曲調を作り上げた。大都市ニューヨークを舞台に、これから始まるスリリングな警察ドラマへと視聴者を誘う。ミステリーのテーマ曲としては最高峰との評価も受けている。
「LAW & ORDER」へのポストの功績はテーマ曲だけではない。シーン転換に使われるあの効果音“ガッジャン”もポストの作品。まるでドキュメンタリーのように場所と時間が表示され、次のシーンに展開したことを知らせる時に鳴る音だ。
“ガッジャン”について、ポストは「ありきたりではなく、何か特別な音を加えたいと思いました。ちょっとした衝撃を表現したかったんです」と米誌のインタビューに答えている。楽器で音を加えてみたが、それでは物足りない。6つか7つの音を組み合わせてやっと満足のいく“ガッジャン”が誕生したという。その加えられた音の中で、特にポストが記憶しているのは、500人の日本人男性が木の床を踏み鳴らすドスンとした音。
「ちょっと変わった歌舞伎のイベントだったようですね。おそらく大規模な歌舞伎教室があったのだと思います。そこで500人が一斉に足を踏み鳴らした。興味を持ったサウンドマンが、その音を集めて保存していたのです」(ポスト)
500人による歌舞伎の足踏み音が加えられた“ガッジャン”音は、時間にしてわずか一秒半。それでも視聴者には大きなインパクトを与えている。
「『LAW & ORDER』のテーマ曲は音楽的によく出来ていると、僕自身思っています。それなのに皆“ガッジャン”音の話ばかり聞きたがる。不思議ですよね」とポストは首をひねっている。
長く愛されている「LAW & ORDER」で、シンボルの一つと言える“ガッジャン”音に日本の古典芸能が貢献していた。日本のファンにとっては、ちょっぴり嬉しい豆知識に違いない。
<「nbc.com」 8月20日>