「犯罪捜査官ネイビーファイル」も10シーズン続いた人気シリーズだ。当時スピンオフを待ち望む声はあちこちから聞こえていた。のちに「NCIS ネイビー犯罪捜査班」のクリエーターとなるドナルド・P・ベリサリオは、「犯罪捜査官ネイビーファイル」で「NCIS ネイビー犯罪捜査班」へつながるバックドア・エピソードを執筆。その好評がNCISユニバース誕生への第一歩となった。
ちなみにバックドア・エピソードとは、オリジナルからスピンオフへの導入となるエピソードのこと。「犯罪捜査官ネイビーファイル」ではシーズン8第178話&第179話「NCISからの訪問者 前後編」が、そのバックドア・エピソードに当たる。このエピソードにはマーク・ハーモンやマイケル・ウェザリー、ポーリー・ペレットらのちの「NCIS ネイビー犯罪捜査班」中核となるキャストの面々がNCISエージェントとして初登場している。
「NCIS ネイビー犯罪捜査班」の製作総指揮の一人、マーク・ホロウィッツは、スピンオフ製作にあたり、当初ある人気ドラマシリーズを参考にしていたと明かす。
「もともと『ロー&オーダー』の海軍版として企画に上がっていたんです。まず犯罪が起こって、NCIS捜査官が調査する。つまり海軍における刑事役NCISが捜査し、JAGの面々が裁判を担当するわけです。ドン(ドナルド・P・ベリサリオ)はしばらくその企画を温めていました」
「犯罪捜査官ネイビーファイル」の舞台は米海軍の法務部。つまり一般の法曹界にあてはめると弁護士や検察官の役割を果たす。NCISと組み合わせれば「ロー&オーダー」方式にあてはめることも可能だったろう。
その企画をひっくり返したのは、マーク・ハーモンのカリスマ。バックドア・エピソードが2話に渡り放送された時、マークの評判がすこぶる良く、当時のCBS社長レスリー・ムーンヴズが「(スピンオフは)捜査シーンだけでいいじゃないか」と意見したという。つまりマークらNCISの活躍だけ見たいということ、大ボスの一言は正しかったのだ。
派手なアクションシーンに加え、ところどころに散りばめられたユーモアが「NCIS」シリーズの魅力。二番煎じではない独自のスタイルこそが、「NCIS ネイビー犯罪捜査班」を20シーズン以上にわたるロングランシリーズへと成長させたに違いない。
<「hollywoodreporter.com」 9月25日>