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S.W.A.T.」でチームからの信頼も厚い、ディーコンを演じているジェイ・ハリントン。ジェイは、「WITHOUT A TRACE/FBI 失踪者を追え!」「デスパレートな妻たち」などに出演、海外ドラマファンにはおなじみの顔だ。
そのジェイが「S.W.A.T.」シーズン6第20話「ゴールドの輝き」で初監督に挑戦。友人のテイ・ディグスをゲストにキャスティングしたという。二人が米エンタメサイトの取材に答えている。共に今年52歳。ジェイとテイは、米シラキュース大学で共に演劇を学んだ同級生だという。二人は当時から仲が良かった。
「在学中は特に仲良くやってたね。僕らは人間的に同じタイプなんだと思う。演技スタイルも似ている。僕らは大学で演劇を学んだけれども、かなり早い段階から、もっと地に足の着いた現実的な演技を目指していた」(テイ)
学問として演技を学べば、古典や形式美にも触れなければならない。本の中の世界よりもっと現実に即した演技を追求したい。そんな二人だから、お互いはお互いを早くから意識していた。
「卒業してからも、いつか一緒に仕事をしたいと思っていたけど、なかなかチャンスは訪れなかった」(テイ)
早くから注目を浴びていた二人だが、テイはブロードウェイでミュージカル、一方のジェイはTVや映画を主な活躍の場としていたため、共演は難しかったのだ。
すでにスターとなった二人が初共演したのが「プライベート・プラクティス 迷えるオトナたち」。
「本当の意味で共演ではなかったけれどね。僕はケイト(・ウォルシュ)とのシーンがほとんどだったから。僕とテイが一緒に仕事をしたと言えるのは、本読みの時だけだった」(ジェイ)
「プライベート・プラクティス 迷えるオトナたち」のレギュラーメンバーだったテイに対し、ジェイは5エピソードのみのゲスト出演。しかも共演シーンがなかったから、顔を合わせたのはリハーサル前の脚本の読み合わせの時だけだったのだ。
とはいえ、仲間のテイの顔を見ただけでも、ジェイはずいぶん心強かった違いない。ジェイにとって、「プライベート・プラクティス 迷えるオトナたち」ゲスト出演は大きなチャンスだったからだ。
「忘れられない仕事だよ。僕は『プライベート・プラクティス 迷えるオトナたち』である役のオーディションを受けていたのだけど、実際に呼ばれたのは違う役だった。(クリエーターの)ションダ・ライムズにも会ったことがなくて、本読みで初対面したときは震えたものさ」(ジェイ)
TVドラマ界の超大物を前に、ノックアウト寸前だったとジェイ。そんな友人をテイは、これでジェイもライムズ・ファミリーになれたと笑顔。俳優とは不安定な職業、不安がこみ上げる気持ちはテイも体験済みなのだ。
「当時のことを思い出してみてよ。(ライムズの)『グレイズ・アナトミー 恋の解剖学』が大ヒットして、次の『プライベート・プラクティス 迷えるオトナたち』には誰もが出演したがった。気持ちは分かるってものさ」(テイ)
TVの階段を順調に駆け上がったジェイは、シットコム「Better Off Ted(原題)」で念願のTVシリーズ初主演。お返しとばかりにテイはゲスト出演を果たした。「僕は遊びに行ったんだっけ、仕事だったっけ?」とテイがジョークを飛ばすくらい、楽しい思い出となった。
そしていよいよ「S.W.A.T.」。ジェイは初監督エピソードにテイを呼んだ。
「(監督として撮影の前に)数ヶ月準備期間があり、僕はテイにメッセージを送った。彼も快諾してくれたというわけさ」(ジェイ)
売れっ子のテイだから、スケジュールが合わない可能性も十分だった。「共演は偶然のたまもの」とジェイは巡り合わせを素直に感謝。
旧友の指揮官ぶりについて、テイは「ジェイ監督の何が素晴らしかったといえば、彼は僕に何と言えば思うような演技を引き出せるのか分かっていたこと、僕を困らせなかったということ。俳優兼監督というのはね、特にTVの演技に慣れすぎていたりすると、ついつい表現過多になりやり過ぎてしまうものなんだ。だけどジェイには、そんな心配は無用だった。うまくやってくれたよ」
初監督となれば肩に力が入るのは当然、それをベテランかつ気心の知れたテイの存在で上手くリラックスできたのだろう。
次はテイが声をかける番? 「S.W.A.T.」共演で二人の絆はより深まったに違いない。
<「tvline.com」 5月3日>