宇宙を舞台にした傑作SFアクション「スタートレック」シリーズの一つ、「
スタートレック/ディープ・スペース・ナイン」には、ちょっと変わったテーマで描かれた人気エピソードがある。それはシーズン7第15話の「アドリブ作戦で行こう!」。ホログラム技術により、1960年代の仮想ラスベガスで楽しんでいた宇宙ステーションディープ・スペース・ナインのクルーたちが、やっかいなトラブルに巻き込まれるというストーリーだ。
そのエピソードにゲスト出演していたジェームズ・ダレンが、米エンタメサイトのインタビューに答えている。
ジェームズは1950〰60年代初頭のハリウッド黄金期に活躍した俳優兼歌手。ヒット曲「Goodbye Cruel World(原題)」でも知られている。「アドリブ作戦で行こう!」では、ラスベガスのステージ歌手、ヴィック・フォンテイン役で歌声を披露している。
「『スタートレック』に1960年代のホログラム歌手が登場するなんて誰が想像できる?」
初めて役の打診を受けた際、そのぶっ飛んだ発想に仰天したというジェームズ。ヴィック・フォンテインは、「スタートレック/ディープ・スペース・ナイン」の功労者であり製作総指揮者の一人、アイラ・スティーヴン・ベールによって生み出されたキャラクターだ。
「アイラは素晴らしい才能の持ち主であるだけでなく、一歩先をゆこうとする男なんだ。最初にホログラム歌手を演じてくれと言われた時、僕は冗談だと思った。僕自身歌手だから、歌を歌う役はごめんだと思っていたんだけどね」
ジェームズ演じるヴィック・フォンテインは、シーズン6第20話「心をつなぐホログラム」から合計8話に出演。「アドリブ作戦で行こう!」はそのうちの一つだ。
「脚本をもらう一週間くらい前にアイデアを聞いた。その発想にワクワクしたね。実際に脚本を読み、ようやくアイラが何を望んでいるのか理解できた。彼は凄いことをやってのけたんだ。いつものことだけどね!」
「アドリブ作戦で行こう!」には元ネタがある。1960年公開の映画『オーシャンと十一人の仲間』で、2001年にはリメイク版『オーシャンズ11』も製作、こちらも大ヒットした。『オーシャンと十一人の仲間』にはフランク・シナトラやディーン・マーティン、サミー・デイヴィスJr.ら当時の大スターが総出演。このクラシック映画に発想を得て、「アドリブ作戦で行こう!」は生まれたのだ。
「(1960年代)当時のことは、僕も馴染みがあるからね。フランク・シナトラやディーン・マーティン、サミー・デイヴィスJr.、彼らは皆友達だったよ。あの時代は僕の人生にとっても特別だから、アイラが描きたかった気持ちも分かるのさ」
「スタートレック/ディープ・スペース・ナイン」出演は今も良き思い出だ。
「僕が最初に(『心をつなぐホログラム』で)現場に入った時、キャストやスタッフは僕があたかも長年一緒に働いてきたみたいに接してくれた。部外者が入り込んだような気まずさは一切感じなかったね」
特に主演のエイヴリー・ブルックスとはウマがあったのだとか。
「エイヴリーは驚くほど才能に満ちた奴なんだ。もともとはジャズをやってたらしくて、ピアノも上手だ。『スタートレック/ディープ・スペース・ナイン』で僕のお気に入りと言えば、彼とのデュエット・シーンだね。一緒に歌ったり、ちょっとしたやり取りも楽しかった。画面から伝わるものがあるとするなら、それは全て本物さ」
「アドリブ作戦で行こう!」は、「スタートレック」ファンにも評判の良いエピソードの一つ。SFにこれまで縁のなかった人も、ぜひ一度見てはいかがだろうか。
<「etonline.com」 2021年2月24日>