チームのリーダーが女性なのも、LGBTQのメンバーがいるのも「NCIS」史上初という意欲作。舞台がハワイとあって日本の自衛官の殺人事件も描くなどスケールが大きく、風光明媚な風景も魅力的だ。
シーズン2の最後、亡くなったと思われた人物に拉致・監禁されるなどして、体も心も傷ついたリーダーのジェーン(ヴァネッサ・ラシェイ)。彼女はシーズン3、チームへの復帰をめざすが、彼女が職場復帰できるかどうかを決める最終面接官に驚かされる。
極端かもしれないが、日本の「特捜9」に「相棒」の右京さんが登場する位の衝撃度では。
ちなみにクール・J、画面上のクレジットは“スペシャル・ゲスト・スター”(他のゲストより格上)だが事実上、新レギュラーだ。有終の美を飾るにふさわしい、スーパースターに期待したい。
そして新たなスピンオフが2本決まった。「NCIS: Origins(原題)」は「NCIS ネイビー犯罪捜査班」の主人公ギブスがNIS(1991年に改称するNCISの前身)で新人だった頃の物語で、若かりしギブスをオースティン・ストウェルが演じ、本家ギブス役のマーク・ハーモンがナレーターなどで参加。
またもう1本は「NCIS: Tony & Ziva(原題)」で、トニー(マイケル・ウェザリー)とジヴァ(コート・デ・パブロ)のその後を描く。ハンガリーなどで撮影し、「NCIS」史上初めてヨーロッパが主要な舞台となる。
昨年、20周年を迎えた「NCIS」フランチャイズだが、まだまだファンの心をつかんで離さないだろう。
【海外ドラマ評論家 池田敏 2024/7/31】
池田敏:海外ドラマ評論家。映画誌「スクリーン」などに寄稿し、TV・ラジオで出演や監修をすることも。著書は「『今』こそ見るべき海外ドラマ」(星海社新書)など。