9月のスーパー!ドラマTVの要注目作は「
ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則」ファイナル・シーズン(シーズン12)字幕版の日本初放送だ。2007~2019年に12シーズンもロングランした本作は、終了5年後の今も語りたくなる。
まず実は本作、シーズン1の全米視聴率はけっして高くなかった。
しかしシーズン6から全米視聴率ベスト3に入り、シーズン11で全米視聴率のトップに到達。なのに続くこのシーズン12で有終の美を飾ったことに筆者は、すがすがしい“やり切った感”を覚えた。
そしてシェルドン(ジム・パーソンズ)の少年時代を描くスピンオフ「ヤング・シェルドン」も成功し、2024年5月に全7シーズンを終えた。
そんな「ヤング・シェルドン」だがスピンオフ「Georgie & Mandy's First Marriage(原題)」が2024年10月から全米CBSで放送開始。「ヤング・シェルドン」に登場したシェルドンの兄ジョージー(モンタナ・ジョーダン)とその妻マンディ(映画「A.I.」などで有名なハーレイ・ジョエル・オスメントの妹エミリー)の結婚生活を描くという。「ヤング・シェルドン」のキャラの一部が再登場する予定なのも楽しみだ。
さて「ビッグバン★セオリー~」が巧いと思ったのは、番組開始当初、男性4人+女性1人だったレギュラーキャラ陣に、バーナデット(メリッサ・ラウシュ)とエイミー(メイム・ビアリク)という女性キャラ2人を足したこと。男性4人+女性3人の群像コメディという新機軸は大ヒット作「フレンズ」を意識したのだろうか。
そして本作は10シーズン続いた「フレンズ」を超える12シーズンものロングランに到達。本作のクリエイターの一人、チャック・ロリーは、1990年代から「ふたりは最高! ダーマ&グレッグ」などの大ヒットコメディを放ちながら「フレンズ」の後塵を拝し続けただけに、こうして“ビッグバン★セオリー”伝説が続いていることを最も喜んでいるだろう。
【海外ドラマ評論家 池田敏 2024/8/30】
池田敏:海外ドラマ評論家。映画誌「スクリーン」などに寄稿し、TV・ラジオで出演や監修をすることも。著書は「『今』こそ見るべき海外ドラマ」(星海社新書)など。