「
Dr. HOUSE」や「ワンス・アポン・ア・タイム」などでおなじみの女優、ジェニファー・モリソンは、豊富な演技キャリアと並行して、監督業にも進出している。
ジェニファーは子供の頃からモデルとして活躍、高校時代には州代表のマーチングバンドでクラリネットを担当、さらにチアリーディング、学校の舞台劇では監督を手がけたこともあったという。
「舞台にずっと興味を持っていて、高校や大学では実際に舞台監督をしたこともありました。LAに移ってからは、小さな作品の製作にも参加しました。楽しかったですね」
才能が世に出たのは女優として。シカゴの大学を卒業して間もなく、「Dr. HOUSE」のメインキャスト、アリソン・キャメロン医師役に選ばれた。
「番組が始まると、かかりっきりで他に何もできなくなりました。しばらくの間は女優業に専念しなければなりませんでした」
初の主演シリーズ「ワンス・アポン・ア・タイム」の頃には、多忙ながらも、周囲を眺める余裕が出てきた。
「主演しながら、技術面でたくさんのことを学びました。当時の学びが監督業に生かされています。撮影で地方に行く際は、好きな映画を持参したものです」
本格的に監督業について学び始め、自分が何をしたいのか、したくないのかの選別をした。もう役に飢えた駆け出し女優ではない。ジェニファーが自信と実力を身に着けたのがこの頃だったのだろう。
「あらゆる本を読み、たくさん質問しました。『ワンス・アポン・ア・タイム』のセットを映画学校にしていたのです。素晴らしい撮影監督、脚本のスーパーバイザーらに囲まれていましたから」
多くのTV俳優が撮影休みに映画に出演するが、ジェニファーは違った。なんと初の長編映画『サン・ドッグス -生きる意味を探して-』を監督したのだ。同作は映画祭で最優秀作品賞を受賞している。
とはいえ、ジェニファーの初恋は「演技」。女優の肩書を捨てることはない。
「自分自身を忘れてキャラクターに飛び込んでゆく、別の人格を作り上げる作業が好きなのです。俳優は演じることで解放感を感じますが、監督やプロデュースは正反対と言えます。作品は自分の手の中にあるのです」
女優としての成功を収め、監督としても手ごたえを感じているジェニファー、ある“先輩”に憧れている。スーパースターであり、女優から監督業へ進出したアンジェリーナ・ジョリーだ。
「アンジェリーナ・ジョリーを見て、『俳優だって、監督業ができるんだ』と感動したものです。人は誰だって、お手本となる先人が必要です。私たちのようなチャレンジャーが増えれば増えるほど、いろいろな俳優が自分だって出来るかもしれないと思ってくれるはずです。すごく大変な仕事であることは間違いありません。だからと言って、止めておいた方がいいなんて言いません」
これからは監督業とプロデュースに力を入れていくとジェニファー。自分が影響を受けたアンジェリーナのように、誰かの背中を押す、そんな女優兼監督になりたい。それがジェニファーの夢なのだ。
<「graziamagazine.com」 2022年10月1日>