「THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~」のニコラス・ホルトは、ひしめく同世代スターの中でも頭一つ飛び抜けた存在だ。
『X-MEN』シリーズ、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』など出演した大作映画が大ヒット。「THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~」では演技も評価され、エミー賞主演男優賞にもノミネートされている。
来年公開の最新作『Superman(原題)』では悪役レックス・ルーサーを演じるニコラス、順調にスーパースターの道を歩んでいるが、実はある大役を逃し「どん底に突き落とされた」と明かしている。
その大役とは、ブルース・ウェインことバットマン。2022年に公開されたマット・リーヴス監督作品『THE BATMAN-ザ・バットマン-』で、ロバート・パティンソンが演じたあの役だ。
ロバートとニコラスは共に英国出身。年齢も近く、個性こそ違うものの、ライバルともいえる関係。
バットマンは、『007』ジェームズ・ボンドに並ぶ映画界屈指のアイコン的キャラクターであり、そのキャスティングは毎回、世界中の話題となる。
リーヴス監督が『バットマン』映画を手掛けるにあたり、新バットマン役はハリウッドの俳優なら、誰もが喉から手が出るほど欲しい役だったに違いない。
従来のバットマン俳優に比べるとやや若かったニコラス(同映画公開当時、32歳)だが、どん欲な気持ちは誰にも負けていなかった。ライバルがロバートだと知ってはいても。
新バットマン役のオーディションも佳境に入った頃、LAで車を運転するニコラスの耳にゴシップが飛び込んできた。ラジオから、新しい『バットマン』映画の主演はロバート・パティンソンが最有力との一報が流れたのだ。
「どん底に突き落とされた気分でした。ロバートと役を争うのですから、(厳しいことは)頭では分かっていました。でも心の中では……」
実はニコラスは翌週末に同役のオーディションを受ける予定だったのだ。
「だから僕は決めつけるな、チャンスをくれよと思ったものです」
その後、ニコラスがオーディションを受けたのかは不明だが、消化試合と聞いてモチベーションは駄々下がったはず。
悔しい思いは今も忘れられないが、リーヴス監督の選択は間違ってなかったと認めている。
「ロバートは素晴らしい仕事をしました。僕が彼ほどやれたか分かりません。マットの作り上げた世界観にロバートほど上手くはまり込めたか自信はないのです」
常識ある大人として、ライバルを称えるニコラス。ロバートとは、ハリウッドを背負う者同士、これからも役を競い合ってゆく。
<「variety.com」 11月7日>