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海外ドラマ最新レポート Vol.54 「NCIS ネイビー犯罪捜査班」のマイケル・ウェザリー、恩人ボスの辞任に傷心

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「NCIS ネイビー犯罪捜査班」に準主役のアンソニー・“トニー”・ディノッゾ役でシーズン1から13シーズンに渡り出演していた、マイケル・ウェザリーが、恩人であるレス・ムーンベス氏の米CBS要職からの辞任について傷心の想いを米紙に語っている。
 
ムーンベス氏は、CBSの元会長兼社長であり、最高経営責任者でもあった。そしてハリウッドでも屈指のパワーパーソンとして敏腕を振るっていたことでも有名。そのムーンベス氏に、セクハラ疑惑が浮上したのが今年の7月。同氏は疑惑を否定しているのの、複数の女性が被害を名乗り出ており、疑惑はグレーのまま。さすがのパワーパーソンも現在の“#MeeToo”ムーブメントに押され、職を辞さざるを得なかったようだ。
 
CBSでのムーンベス氏は、「NCIS」シリーズ、「CSI」シリーズを始め、多くの人気番組を手掛けた。CBSのトップとして人気番組のキャスティングにも大きな影響力があったと言われる。
 
「NCIS ネイビー犯罪捜査班」に出演していたマイケルも、ムーンベス氏お気に入りの俳優の一人だった。マイケルは、2016年に「NCIS ネイビー犯罪捜査班」を降板後、同じCBSで主演シリーズ「BULL/ブル 法廷を操る男」をスタートさせた。順調なキャリアチェンジに、ツイッターで「レス・ムーンベスとCBSが僕に人生最高のチャンスを与えてくれた」と感謝の言葉を表したこともあるほど。
 
それだけに、今回の恩人ボスの辞任は誰よりも堪えている。
 
マイケルは、「何が正しいのか悪いのか、(情報が)どこから出てきたのかなんて、軽々しく想像で話すべきではない」と前置きした上で、「僕の仕事面での成功は、会社の上層部(ムーンベス氏)の決断のおかげだと言える。だから、僕は今、とても難しい立場にいる」と苦しい胸の内を吐露した。
 
自身をスターの地位にまで、引っ張り上げてくれたムーンベス氏。世間がどのような判断を下そうと、マイケルにとってはボスであり恩人なのだ。
 
ムーンベス氏が去った今、「BULL/ブル 法廷を操る男」の主役として心を奮い立たせる時に、思い出す恩人ボスがもう一人いる。それは、「NCIS ネイビー犯罪捜査班」主役であり、製作総指揮者の一人でもあるマーク・ハーモンだ。
 
「僕が番組にいた時、マークはたくさんのことを教えてくれた。(主役は)洞察力と心遣いが大切なのだと。当時の僕は『マークはなぜ、僕らと一緒に楽しまないんだろう?』なんて思っていたのだけどね」
 
明るい性格のマイケルは、役の“トニー”同様、周囲のムードメーカー。その陽気さが現場には必要だったのだろうが、立場の違う「BULL/ブル 法廷を操る男」では、また違う役割が要求されるのだ。
 
「『NCIS ネイビー犯罪捜査班』で、僕はスティーブ・マーティンみたいな役割だった。だから長年、同じ役を飽きずに演じられたんだ」とマイケル。スティーブは、つかみどころのないコミカルなキャラクターを演じて、人気のコメディアン。ひょうひょうとした“トニー”と、どこか共通点があったのかもしれない。
 
「『BULL/ブル 法廷を操る男』では、僕は主役だ。シーズン1の時に気が付いたのだけど、主役はできることの幅が決められているんだ。主役なのに好き勝手やってると、頭がイカれた奴みたいに思われてしまう」
 
主役だからと何をやっても許されるわけではない。主役が主役の役割を守らないと、たちまち番組は崩壊してしまう。むしろ二番手以下の方がよほど自由なのだと、初めて主役になってみて気が付いた。もう“トニー”じゃいられない、あのころのマーク・ハーモンにならなければならないのだと。
 
「BULL/ブル 法廷を操る男」は、米でシーズン3がスタート。もはや頼りになるムーンベスはいない。マイケルにとって、本当の一人立ちのシーズンが始まった。
 
<「usatoday.com」 9月24日>