米でシーズン6を放送中の「ブラックリスト」に主演しているジェームズ・スペイダーが、ロングランシリーズに成長した同作及び自身の仕事観について語っている。
「テレビの仕事につけてラッキーなことに、新しく出演する作品が常に前作を超えてくるんだ。自分の役だけじゃない、ストーリーも同じさ。エピソードはそれぞれでも、全体として大きなストーリーをつないでゆく。『ブラックリスト』は、まさにその通りの作品だと思うね」
「ブラックリスト」は、一貫としてレディントン(ジェームズ・スペイダー)とエリザベス・キーン(メーガン・ブーン)、二人の関係性を描いたストーリーだ。「ザ・プラクティス」や「ボストン・リーガル」などTVでもベテランのジェームズだが、確かにここまで複雑にストーリーをつむぐ作品に出演するのは「ブラックリスト」が初めてだろう。
「僕自身は、(作品の)過去を振り返ったりせず、いつも前を向くタイプだ。だけど、この作品は例外。ストーリーの最初から、僕らが長い長い遠回りしながら歩んできた道と、しばしばつながることがあるからね。どれほどの遠回りをして、僕らはここにたどりついたのか。振り返ってみれば、とても満足している」
TV、映画、舞台から声のみの出演まで、演技と名の付くものは全てやりつくした。経験を重ね、カリスマティックな演技は折り紙付きだが、その実力は若い頃から頭角を現していた。20代前半から映画『プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角』など青春映画にも数多く出演している。
そんな恵まれた才能の持ち主にも食えない時代はあったとか。
「家賃を払うのに困った時もあったし、余裕で暮らせた時もあった。だけど、それは何をしてお金を稼ぐかという違いだけ。経済的には、確かに山あり谷ありだったけれど、僕の選択のせいでもあったんだ。たとえば、時間を取られるわりには出演料の少ない仕事を受けたとすれば、それで生活が苦しくなったとしても僕の責任だ。それでもいいと僕は思っている。今まで何度もお金が尽きたことがあったけど、なんとかやってこれたんだし」
一見“俳優バカ”のようでもあるジェームズだが、意外にも「僕は生きるのが得意」と認めるほど現実主義者でもある。
「お金が無い時はいろんな仕事をしてきたよ。床掃除だって、映画を作るのだって、お金を稼げるなら、僕はどっちも気にならなかった。たぶん僕の生まれ持った性格なんだろう」
“俳優バカ”に見えたとしたら、それはジェームズの勝ち。掃除屋にも、映画プロデューサーにも、何にでも化けて見せる、それがジェームズの才能なのだから。
<「parade.com」 2018年12月28日>