「サバイバー: 宿命の大統領」、そして最新作「The Fugitive」(米配信サイトQuibiの新シリーズ)も好評のキーファー・サザーランド。
日本でも指折りに知名度の高いキーファーの代表作といえば、「24 TWENTY FOUR」。自身が米誌のインタビューに答えたところによれば、その「24 TWENTY FOUR」出演以降、TVや映画への考え方がすっかり変わってしまったという。
「『24 TWENTY FOUR』からはたくさん学んだね。僕が思うにTVの何が変わったかと言えば、1話完結のドラマばかり作らなくても良いと考えるようになったことだ。代わりに、全体のストーリーを包む連続物のドラマを作り始めた。『24 TWENTY FOUR』は長い長い、(全シーズン)216時間の映画のようなものなんだ」
もともとキーファーがブレイクしたのは、10代の頃撮影した映画『スタンド・バイ・ミー』。その後も映画を中心に活動していたが映画俳優としては大作に恵まれず、しばらくは中堅どころに留まっていた。
「(それまで)僕は映画という分厚い壁に頭を打ち続け、脳震盪を起こしそうになっていた」とジョークを飛ばす。父であり名優のドナルド・サザーランドを意識せずにはいられなかったはずだから、キーファーも“映画俳優”にこだわっていた時代があったのだ。そこで、2001年の「24 TWENTY FOUR」。
「『24 TWENTY FOUR』と出合って、ストーリーの質さえ良ければ、映画やTVといった形にこだわらなくていいと分かったんだ。素晴らしいストーリーがあって、それが2時間に収まりそうなら、映画になる。だけど素晴らしいストーリーが24時間分作れるなら、TVシリーズにすればいいじゃないかとね」
キーファーを大スターに押し上げ、9シーズンと一本のTV映画が生まれたTV史上に残る傑作も、最終シーズンが放送されてから早6年が経った。
「俳優として、『24 TWENTY FOUR』ほどダイナミックな経験をさせてくれた作品はないね。ある一定の時間(24時間)の中で、演じるキャラクターが最高の瞬間と最悪の瞬間を行ったり来たりするのだから。ああいった経験が出来るキャラクターの設定はなかなか難しいと思う。信じられないくらい楽しくて、挑戦心をくすぐる、エキサイティングな毎日だったよ」
代表作への愛は尽きない。今でも「24 TWENTY FOUR」の新アイデアがあれば、時間を割くことに躊躇はないが、宝物のような作品だからこそ慎重になる。「9シーズン制作して、最後はそれなりのところで収めたつもりだ。何が難しいって、それを台無しにするような何かをやる気は絶対ないってことさ」
ミステリーやサスペンスで見せるキーファーの緊迫感ある演技は、ハリウッドでも有数の才能だ。「24 TWENTY FOUR」復活の有無にかかわらず、キーファーがこれからもTVや映画でファンの心をドキドキさせてくれるのは間違いない。
<「forbes.com」 8月1日>