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海外ドラマ最新レポート Vol.464  「BONES ―骨は語る―」のミカエラ・コンリン、脚本家に感謝している理由とは

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BONES ―骨は語る―」でブレナン(エミリー・デシャネル)率いるチームの世話役キャラのアンジェラを演じていたミカエラ・コンリン。ミカエラはアイルランド系の父と中国系の母の元に生まれた、アジアの血を引く女優だ。近年、米TV界におけるアジア系俳優の活躍は目覚ましいものがある。人種のダイバーシティが進み、ほとんどの作品にアジア系がキャストされる時代になった。それも韓国系俳優レイモンド・リー主演の「Quantum Leap」(『タイムマシーンにお願い』のリブート版)のように、かつては白人俳優の独壇場だった主演ポジションにアジア系俳優が抜擢されたことは、米TV界にとって大きな一歩と言えるだろう。
 
そんな恵まれた今の米TV界とは異なる、17年前の2005年。「BONES ―骨は語る―」のアンジェラ役にキャスティングされたのが、ミカエラ。 「アンジェラ役はアジア系女性を想定して書かれたものじゃなかったわ。(オーディションは)人種を限っていなかったから、役に選ばれてとてもラッキーだった。プロデューサーはアンジェラの設定を決めてなかったんじゃないかしら」 オーディション時、アンジェラなるキャラクターは人種どころか、まだぼんやりとした設定しか出来ていなかったのかもしれない。そこにミカエラがやってきて、なぜだかストンと収まった。肌の色ではなく、ミカエラの個性と実力で選ばれたのだ。実際に役を演じ始めてからも、脚本家が描くアンジェラ像はミカエラを喜ばせた。
 
「(脚本では)アンジェラは一度も典型的なアジア系として描かれたことがなかったと思うの。彼女の人間性そのものが肝心であって、人種について脚本家たちが意識したことはなかったはずよ。それについては本当に感謝してるわ」 そして「BONES ―骨は語る―」は2017年に終了。今や格段に進歩したアジア系俳優の環境を喜ぶ一方、コロナ禍のパンデミックに発生したアジア系に対する暴力には心を痛めた。 米国に人種差別はなくなっていない。だから、あともう一歩が必要だ。 「アジア系のプロデューサー、脚本家、エージェントがもっと誕生してほしい。そうすればチャンスを必要としているアジア系の俳優やクリエーターたちのプロジェクトが陽の目を見ることができるから」
 
これまでチャンスを与えられてきたアジア系が、これからは与える側へ。「私たちアジア系は間違いなく大きく前進したけれど、これからも進み続けることが大切。歩みを止めてはダメなのよ」 ミカエラは「BONES ―骨は語る―」にキャスティングされたことを「ラッキー」だと思った。これからのキャスティングはラッキーでも偶然でもない、誰しも実力を発揮できる舞台を増やしたいと心より願っている。
 
 
<「observer.com」  2021年4月20日>