まず「
V('83)」は大ヒット映画「インデペンデンス・デイ」への影響も大だが、地上波の2時間枠で放送されたミニシリーズ2本、計5話から成るのは、動画配信サービスで人気のリミテッドシリーズをかなり先駆けていたとも解釈可能だ。また、日本で残した一番の偉業は当時のレンタルビデオ業界で大ヒットしたこと。これが無かったら「ツイン・ピークス」も「24 -TWENTY FOUR-」も成功できたかどうか。そして2009年にはリ・イマジネーションされ、これには後に「HOMELAND」などに出演するモリーナ・バッカリンも出演。皮肉にもファシズムへの警告というテーマも健在だ。
そして「
将軍/SHOGUN」は日本映画ファンも要注目。ハリウッドの名脚本家でもあったジェームズ・クラヴェルによる小説を映像化し、17世紀の日本に来た英国人ジョン・ブラックソーン(リチャード・チェンバレン。当初はショーン・コネリーにオファーが行った)が主人公の西洋流時代劇だが、舞台となる日本で数カ月にわたってロケし、名優の三船敏郎を筆頭に、島田陽子、フランキー堺、岡田真澄など日本のオールスターが豪華共演。本作、実はリメイクが進行中だ。企画は難航したものの、今年9月からカナダ・バンクーバーでようやく収録が始まり、日本から真田広之(旧作で三船が演じた虎長役!)、浅野忠信、二階堂ふみなどが参加。それほど1980年代の米TV界のヒットドラマは今なお影響力が大きいことを、この機会に再確認したい。
【アメリカTVライター 池田敏 2021/11/1】
池田敏:海外ドラマ評論家。海外ドラマのビギナーからマニアまで楽しめる初の新書「『今』こそ見るべき海外ドラマ」 (星海社新書) 発売中。