現在もなおその人気で、お茶の間ドラマとしてのポジションを確固たるものにしている「LAW & ORDER: 性犯罪特捜班」。1999年から続く本作は、毎回華やかなゲストが登場することで知られているが、過去のシーズンを鑑賞すると、他界してしまったレジェンドや、現在は人気ドラマのレギュラー級となった俳優たちの貴重な時期を振り返ることができる。そして、シーズン7も豪華なゲストたちが登場しており、毎シーズンの「LAW & ORDER: 性犯罪特捜班」が一層楽しめるポイントになっている。まず第1話「心に潜む闇」では、『ターミネーター2』で冷酷な殺人ロボットに扮したロバート・パトリックが登場、釈放された元性犯罪者を怪演している。このエピソードで彼と激しいアクションシーンを交えたステイブラー役のクリストファー・メローニは、この時ロバート・パトリックと初めて会ったにも関わらず、他人とは思えないような親近感が湧いたそうで、撮影後はとても深い友人関係になったそうだ。劇中、彼らのピッタリと息の合った演技を見ることができる。第2話「オーダーメード」は、本家「LAW & ORDER」シリーズのシーズン16、第2話「因縁の対決」とのクロスオーバーエピソードとなっている。「ワンダーウーマン」のリンダ・カーターと『PLANET OF THE APES 猿の惑星』のエステラ・ウォーレンが母と娘役を好演している。第6話「危険な革命家」では、本作にたびたびゲストとして登場する「コード・ブラック 生と死の間で」『ミスティック・リバー』のマーシャ・ゲイ・ハーデンが白人至上主義者として出演。また第7話の「意志を継ぐ者」では、『ゴッド・ファーザー』で殺し屋アル・ネリ役を3部作に渡って演じた名脇役のリチャード・ブライトが、貫禄ある演技を見せている。残念ながらこのエピソードが彼の遺作となってしまった。連続レイプ魔事件がテーマの第8話「完全なる支配」では、「新スーパーマン」のクラーク・ケント役で知られるディーン・ケイン、 第12話「銃犯罪の後遺症」では、「LOST」のウォルト・ロイド役を演じたマルコム・デヴィッド・ケリーや「マンハント:デッドリーゲーム」のジュディス・ライトらが出演し、それぞれのエピソードを盛り上げている。また、「LAW & ORDER: 性犯罪特捜班」好きを公言している『ワイルドスピード』シリーズのテズ役として知名度を上げたリュダクリスは、ついに第18話の「愛に飢えた危険分子」でゲストとしての出演を果たした。同じく同シリーズのファンとして知られている「プロディガル・サン 殺人鬼の系譜」でギル・アローヨ役を演じたルー・ダイヤモンド・フィリップスも、第19話「重い選択」にキーパーソンとして登場。劇中での彼の存在は、ベンソンとステイブラーのパートナー関係を脅かすことになる。そして第20話「肥満の呪縛」では、本家「LAW & ORDER」のレギュラーメンバーであるケヴィン・バーナード刑事役のアンソニー・アンダーソンが、オリビア・ベンソンのパートナーとしてゲスト登場している。彼はこのエピソードのあと、2008年のシーズン18から本家のレギュラーメンバーとなった。また、同エピソードには、『ドラゴン・タトゥーの女』『ナイトメア・アリー』など、今や数々の映画で主役に匹敵する人気者になったルーニー・マーラが、初々しい高校生役として登場している。さらにシーズン最終話の22話「スターの影響力」では、A24の最新ホラー映画『X エックス』や『ピッチ・パーフェクト』3部作のクロエ役などで知られるブリタニー・スノウが、ティーンエージャーとして出演、同じエピソードには「ウォーキング・デッド」のノーマン・リーダスがのロック・スター役でゲスト出演するなど、名優から今を輝くスターまで、幅広い俳優たちが名を連ねている。
さらにシーズン7は、「LAW & ORDER」の歴史においても貴重なシーズンとなっており、マリスカ・ハージティが第3話「緊急コール」で見せた迫真の演技が、プライムタイム・エミー賞のドラマシリーズ部門において最優秀女優賞に輝いた。これは、「LAW & ORDER」フランチャイズのレギュラー俳優が、初めてエミー賞に輝いた名誉ある受賞となった。同年、クリストファー・メローニも第4話「父と息子」でプライムタイム・エミー賞ドラマ部門の最優秀男優賞にノミネートされているが、残念ながらダブル受賞とはならなかった。マリスカ・ハージティがエミー賞を受賞した第3話「緊急コール」は、現在シーズン24まで続く本シリーズの520ほどあるエピソードの中でも、「ベストエピソード」の1本として評価されており、緊張感あるテンポやハラハラさせられる展開は、最高と称されるに値する。エミー賞受賞となった彼女の強さと優しさを同包させた演技は必見だ。