子役から見事な成長を遂げたエル・ファニングとニコラス・ホルト、豪華2大共演!
『I am Sam アイ・アム・サム』で姉ダコタ・ファニング演じるルーシーの幼い頃を演じ、弱冠3歳未満にして映画デビューを果たしたエル・ファニング。その後「TAKEN テイクン」で再び姉ダコタ・ファニングの幼い頃を演じ、2003年公開の『チャーリーと14人のキッズ』以降はエル・ファニングとして独自の力でスターへの階段を駆け上がってきた。一方のニコラス・ホルトも、弱冠12歳にして『アバウト・ア・ボーイ』でヒュー・グラントの相手役を見事に演じ大ブレイク。その後ハリウッド映画にも進出し、2015年、大ヒット作『マッドマックス 怒りのデスロード』に出演するなど、見事な経歴を築き上げている。そんな2人が初めて共演したのは2014年公開のSF映画『マッド・ガンズ』。あれから6年が経ち、主役2人の絶妙な掛け合いが大きな見どころとなっている本作では、アカデミー賞ノミネート脚本家トニー・マクナマラの巧みな脚本をベースに2人の抜群な相性が披露されており、『マッド・ガンズ』からの成長も窺える。ニコラス・ホルトは同じくトニー・マクナマラ脚本の『女王陛下のお気に入り』にも出演しており風刺やコメディー調の作品はお手のものだが、コメディージャンルが初めてのエル・ファニングにとっては、トニー・マクナマラが生み出す旨味たっぷりのハイペースな脚本のリズムを掴むのに少し時間がかかったと言う。また、恥ずかしいという気持ちを捨てることも学んだと言い、相手役がニコラス・ホルトであったことで掛け合いに安心して挑むことができたようだ。
アカデミー賞ノミネート脚本家トニー・マクナマラを筆頭に、製作陣も実に豪華!!
本作の企画・脚本・製作総指揮を務めるのは、2018年公開の『女王陛下のお気に入り』でアカデミー賞脚本賞にノミネートされたのが記憶に新しいトニー・マクナマラ。実は本作は『女王陛下のお気に入り』よりも前から存在したそうで、トニー・マクナマラは舞台用に本作を書き上げ、シアタープロダクションとして製作されて公開もされたようだ。トニー・マクナマラ曰く、生の観客を目の前にすると、コメディーのどの部分が成功してどの部分が失敗したかを肌で感じ取ることができるとのこと。そんな“実験”を経て、彼自身だけでなく彼の娘も見たいと思うようなツイストのある脚本が出来上がった。アメリカでは2020年5月にHuluで配信開始された本作。Huluの発表ではコメディージャンルのオリジナル作品としてはトップを争う視聴成績を残しており、早くも7月には第2シーズンの更新が決定した。公開以降、Huluオリジナル作品の中ではグーグル検索率No. 1、ウィキペディア検索率No. 1を記録し、IMDbやRotten Tomatoesの視聴者評価も高得点が相次いでいる。同年に開催された第72回エミー賞では惜しくも受賞は逃したものの、コメディーシリーズ部門の脚本賞にトニー・マクナマラがノミネート、監督賞にマット・シャックマンがノミネートされた。マット・シャックマンはシーズン1では第1話を監督し、また、2シーズン続けて製作総指揮も務めている。「ゲーム・オブ・スローンズ」や「キング・オブ・メディア」でも監督を務めた敏腕クリエーターだ。さらに、キャスティング・ディレクターを務めるのは『女王陛下のお気に入り』と同じ人物。それもそのはず、トニー・マクナマラは『女王陛下のお気に入り』でニコラス・ホルトがリハーサルしている様子を見て、本作へのキャスティングを決めたと言う。色鮮やかな美術や華やかな衣装、繊細なライティングも本作の見どころ。そして各話のエンディングで流れる毎回異なる楽曲も、本作のテーマに沿ったものが集められていて粋である。エル・ファニングにとっては本格的に製作総指揮を務めた初めての作品となっている。
時々真実の物語!?
毎回各話の冒頭に流れるタイトルカードには「注:時折、実話。」と書かれている。歴史ものなのに実話ではない?! とびっくりするかもしれないが、確かに本作は実話とは言い切れない。もちろん女帝エカチェリーナは実在の人物で、ロシア史上最長の女性統治者であることに間違いはなく、皇帝ピョートルも実在の人物だ。しかし、マリアルやサムサ大主教など実在しない人物も多く登場し、登場人物たちの関係やストーリーのタイムラインがフィクション化されているのが本作である。企画・脚本のトニー・マクナマラは、『女王陛下のお気に入り』、本作と2作続けて歴史ものを執筆しているにも関わらず、実際はそれほど歴史もののファンではないと言っている。では、なぜ女帝エカチェリーナの物語を書こうと思ったのか? 女帝エカチェリーナについて、あまり知識がなかったというトニー・マクナマラだが、ロシアに女性教育をもたらし啓蒙時代の存続に力を注いだというエピソードをたまたま耳にしてから、女帝エカチェリーナについて色々勉強したそうだ。そして彼女がとても複雑な人間であり、間違った男と結婚してしまったと気づいた時に「一体どうすればいいのか? 夫を殺すか? 」という思考に走ったことが、とてもコンテンポラリーでとてもモダンに感じたと言う。本作では史実とフィクションの境界線を曖昧にすることでドラマチックな展開に風刺やコメディーをうまくミックスさせ、ファルスの要素を含んだ鋭いストーリーテリングが可能になった。歴史を正確に記した作品を作ることが目的ではなく、トニー・マクナマラ自身が楽しめる作品を目指したそうだ。そして、主演のエル・ファニングとニコラス・ホルトも歴史本を放り出し、史実との関係性についてはトニー・マクナマラに任せて、キャラクターを自由自在に操って人間性を持たせることに専念できたようだ。2人の掛け合いが抜群の相性を見せているのはそのおかげなのかもしれない。
注)初回放送当時の情報となります